「天地明察」
週末用としてこれを借りてきた。
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/12/01
- メディア: 単行本
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春に話題になっていたときには、ちょうど借り出されていて、そのまま何となく未読だった。でも、あれだけ話題になった本だから、そこそこ楽しめるだろうと期待して借りてみた。ずいぶんたくさんの人に借り出されて、だいぶページは痛んでいる。けれど、ページをめくると、一気に読破した。
確かに面白い。文章はこなれていて読みやすいし、登場人物達もそれぞれキャラクターが明確でわかりやすい。しかも、テーマが「大和暦」で、主人公の渋川春海にしても、和算の「関孝和」や測量旅行に嬉々として参加するおいちゃん達にしても、皆かなり風変わりで、でも明るく真面目だ。特に己の好きなことに対して、どこまでも真摯で素直な渋川春海は、明るいけどかなりなオタクで、だからついつい共感してしまう。
それと同時に、「数学」「天文」と言った学問が、どんな風に面白いか、その心情がよく描かれているように思う。「数学」なんて、特に嫌われる・苦手の筆頭にあげられる教科だ。そういう「数学(和算)」そのものが非常に魅力的に描かれており、これを読んで教養・楽しみとして数学に真剣に取り組んでみる人もいるだろう。
実際先日のニュースでも、「最近大人に数学ブームが起きている」と報道していた。「博士の愛した数式」でも√や素数といったものが実に魅力的に描かれていたけれど、こうした作品を通して老若男女に数学愛好者が増えるのは、歓迎すべき事だろうと思った。
冲方丁は、何となく名前くらいは知っていたけれど、他の本はまだ読んだことはない。けれど、これも時代小説ではあっても、ややSF的な風味も持ち合わせている作品なので、これなら他の本も読めるかもしれないとは思った。
でも、職場の図書館では他に冲方丁の本は無いんだな〜。買うのは、いいけど置き場がない。迷う〜。