hyla’s blog

はてなふっかーつ!

日本の森


 クローズアップ現代は、ニュースに続いてだらだら見てしまうことが多い。時事問題をコンパクトにまとめて伝えてくれるので興味深くはあるのだけど、一方で何ともウツになってしまう情報も多い。
 昨日の奨学金という名前の教育ローンが返せない若者の話もそうだったし、今日の外資に買われる日本の森についてもそうだった。


 21世紀は水戦争の世紀と言われていて、淡水の不足が懸念されるからこそ、水を手に入れたものは勝者となり得る、と言うことはずいぶん前のNHKスペシャルでやっていた記憶がある。最近でもアラル海の消失とか、黄河の絶流とかの話題は耳にするし、逆に言うと、水の豊富な日本は珍しいくらい恵まれた土地なのだ。どこまで行っても緑があふれ、澄んだ水が常に川を流れていく日本の景色は、私たちにはごくありふれた眺めでしかないけれど、水不足な国か来てみれば、それだけで羨望に値する景色かもしれない。

 
 テレビで取り上げられていた日本の森を買った外国資本は大金持ちな人らしい。投資対象として日本の森を自由にされてしまう危険性についてテレビは報道していた。
 けれど、特に最近は、ビザを緩和してまで中国なんかの国外からの観光客を増やしているし、日本に出稼ぎに来ている中国系を始めとした外国籍のヒトも多い。そうした人達が小金持ちになったとき、投資あるいはリスク回避のためだけでなく、もっと様々な目的で日本の土地、日本の森林、日本の田畑を買っていくかもしれない。だからこの問題は、今後もっと拡大するのではないか。もっともっと普通の人が、水と光と農林業のできる日本の土地を目指して、多く来るようになるのではないか。

 
 どこかで、今の日本の結婚の10組の一組は国際結婚だと聞いた。そうやって日本に住む人達は、父となり母となり、やがては祖父、祖母になっていくだろう。けれど、その間に中国の環境が更に悪化すれば、水がいよいよ無くなれば、中国で農業に携わって来た人達は離農せざるを得なくなる。その時、日本の過疎の村に嫁いだヨメが、親戚を呼び寄せること、ヨメを頼って新たに日本に来る人が増えることもあり得るのではないか。あるいは、日本で出稼ぎをした人々が、そのお金で水の豊富な日本の土地を買って定住することもあるかもしれない。
 人は産まれ育った土地がどういう所でも、そこに深い愛着を抱くものだ。私だって、土地は狭いし、水はない、ないないづくしのショボい香川だけど、やっぱり見捨てられない。けれど、水が涸れればどれほど愛着があっても人はそこには住めなくなるのだ。
 時折耳にする報道をみれば、中国なんかの水不足はよほどの技術革新が無い限り今後ますます進むだろうし、ならば水を失い彷徨う難民は出る。なら、そうした人々が二束三文の日本の山を買い、日本に定住し、新たなネットワークを築いていく可能性はある。

 
 投資目的で森を買われるのは、かなりリスクが高い。これは、実際まずいと思う。
 では、外国人が林業を、農業を目的として日本の森を買うならそれは悪いことか?
 

 日本人だって海外移住をたくさんしている。だから、必ずしも悪いことではないだろう。けれど、日本の土地は確かに水に恵まれているけれど、その山や農地や海の恵みさえも、自然とのつきあい方を間違えると失なわれてしまうものだ。里山と言う言葉はもはや定着したけれど、この言葉に代表される自然とのつきあい方は一朝一夕にできあがったものではない。
 外国人が、日本の森を買うことが必ずしもいけないわけではないけれど、水や空気や生き物全てのものを育み支える森は、誰が所有してもかまいはしないけれど、その森との関係も含めて持ち続けなければ困る。その地に住み、一見めんどくさい土地利用の慣習ごと受け継いで欲しい。そうでなければ、森は劣化・喪失するだろうし、それは人だけでなく多くの生き物に影響するだろうし、地球規模でみても困る。
 けれど、都会人がIターンで農業を始めたり、あるいは定年帰農で農業を始めた場合でも様々な軋轢は生じている。投機対象として森を買うのでなくても、林業をするのであっても、国や民族が違えば、もっとそこに問題が頻繁に発生することになるだろう。また、希少種も絶滅危惧種への配慮なんて全くなしに伐採を行うかもしれない。自分自身が矮小なナショナリズムに陥ることにならないようには気をつけねばならない。が同時に、何が起き得るかという事を考える事、それに対する心づもりを私達はそろそろしておかねばならないかもしれない。


 日本人が、日本の山や森との間で築いてきた関係は、とても重要であったということは最近になってその価値が見直されてきている。また、生態系ってのは、ある程度は復元性があるけれど、ある一線を越えると回復不可能になってしまうこともわかってきた。
 だから、やはり山や森、田畑といった、命を支えるものは迂闊に売り買いしてはならない。どうしても外国資本等に売るとしても、何らかの規制は必要だ。


 不況対策、円高対策もとても重要な事だけど、これだけは早急に何らかの規制をかけて欲しいと思う。


 
 ああ、お金持ちなら、私がどっと森を買うんだけどなあ〜。でもって池も買って、ニホンバラタナゴやカスミサンショウウオなんぞを育てるんだ。いいなあ〜。ミミカキグサとか、イヌタヌキモも良いなあ。
 あ〜、金持ちになりたい。