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アリの生態と分類


 アマゾンからこの本が届いた。

アリの生態と分類

アリの生態と分類

 
 このところアリにはまっていて、アリについて調べているとネットで引っかかったのだ。届いた箱をわくわくしながら開いて、早速開いてみたが、なかなか良い。

 サブタイトルの通り、南九州のアリの本だけど、四国なんかだと全然問題なく使える図鑑だし、何より写真が綺麗。小さな小さなアリなのに、よくもこんなに綺麗に撮れるもんだ。識別ポイントについても、文章も丁寧だけど何より写真の上に矢印で示されていてわかりやすい。
 形態に関する文章だけでなくて、生態に関する文章も、簡単ではあってもきちんと記載されていてイメージが良くつかめるし、個人的には第二部の「南九州のアリの生活」が楽しかった。高校生や大学生の卒論として調べられたデータがグラフとして示されていて、よくわかる。こういうデータって、ほとんどの人には知られることなく死蔵されてしまうデータだろう。それがこうやって見られるというのはとても楽しいし、じゃあ自分の身の回りで同じようにデータをとったらどうなるんだろう、と思わせる。さらには、文献もきちんと一覧にされているので、そういう点でも親切だ。こういうのを見ると、読みたくなるし、そうすると更に知りたくなるだろう。(ちなみに江口克之さんの「書斎を「家族に嫌われない程度に」標本室化する」って文献は、そのタイトルのあまり、ついつい検索して読みに行ってしまったよ。)
 
 う〜ん、本気に手を出すと泥沼かな、とは思うけど、惹かれるなあ〜。


 んが、欲を言わせてもらえれば、アリを上から見た写真も入れて欲しかった。写真は全て顔のアップと横から見たもので統一している。メジャーワーカーとマイナーワーカーがいるオオズアリなんかは両方の写真を載せていて、識別のためにとても配慮はされているのだけど、本気の初心者は採集して実態顕微鏡で観察して比較して同定するのもいいけど、同時地面で見た感じも確認したいと思うのではないか?だから、地面にいるアリを見るのと同じように、上から見た写真も是非欲しかったなと感じた。


 アリについては、文一総合出版からこれも出ている。
 

アリ ハンドブック

アリ ハンドブック

 これも、ハンドブックだけに掲載種が少ない点は不満だが、良くできていると思う。


 
 アリは鳴くわけでもなく、甲虫類みたいに派手な形を持つわけでもなく、鱗し目みたいに美しい羽も持たない。けれど、実際に飼ってみると女王の運だ卵を丁寧にケアして育てている様子は興味深いし、餌の探索や餌を持って帰る様子もおもしろい。小さな容器で飼えて、でもその中でどんど増えていくと、わくわくする。子供の頃に、ガラス板に挟んだ土にアリを入れて飼ったり、あるいは単純にアリにお菓子をやってその行動を眺めた人は、それなりにいるはずだ。そういう人は、絶対にはまる世界だ。

 
 アリについての良い本が今がんがん出ているということは、アリを研究する人が頑張っていて、更におもしろいと思う人が増えているということだろう。実際にネットで見ていると、アリをテーマにしたブログも散見される。


 私も頑張って少しずつ覚えて、地域の普通種だけでもきちんと識別したいもんだと思う。