hyla’s blog

はてなふっかーつ!

春目前


 起きたらとても天気がよかった。ぼーっとした頭のまま何をしようか考えて、洗濯をした。
 
 
 洗濯を干して、そのまま庭に出て何を眺めるともなく、これまたうろうろとしていると、少しずついろんなものが変わり始めていた。小さな福寿草が花を咲かせていたし、木瓜のつぼみが丸く膨らんで色づき始めていた。それから、春咲きの椿のつぼみも膨らんでいるし、チューリップだの水仙だのが伸び出している。

  
 寒いけど、それでも吹いてくる風はやっぱり冬の風ではなくて早春の風なのだ。冬の、あるいは秋の風と何が違うんだろう?冬を経験して浴びる光だから?それとも湿度や空気中の粒子の違い?

 
 いずれにせよ、鈍感な人間であっても春と感じるわけだから、一日を屋外で過ごしヒトよりもっともっと敏感に季節を感じる生き物がこれを感じないわけないのだ。


 こないだは、カワラヒワが2羽おっかけっこをしていたし、土手でハシボソガラスがそろそろ巣をかける木を争っていた。



 つまりは、春がくるんだな。



 この冬は泣いてばかりいた。ほとんど泣くことなんかしなかったのに、この冬は何度泣いただろう。ここ一年だけで、その前の十年分より泣いた気がする。ヒトは泣くほどに強くなるなんて事は嘘だし、苦労が人間を成長させるなんてのも嘘だ。日常の中で、常に優しい言葉を交わしあっている人間こそ優しくなれるし、冷たい言葉しかもらえない人は、あるいは言葉さえもらえない人は、優しくもなれない。
 そんなことを実感する。


 昼から、山下達郎のサンデーソングブックを聞きながら買い物に行った。食料品を買って、それから帰りに市場で花を買って帰った。

 
 華をやっているので、一週間に一度は花を買う。寒い時期だし、花は一ヶ月近くは持つので、家の中に花があふれている。玄関の花は今週の柳。床に置いたのはあまりの花。床には桜があって、応接にはトサミズキ。

 
 なのだけど、さらに花を買って、生ける。


 誰にもみられない花を、生け続ける。



 
 そうやって時間は過ぎていく。そうやって春が来る。

 
 時間だけは、誰しもに公平かもしれない。