hyla’s blog

はてなふっかーつ!

「介護と恋愛」


 思い立って、近所の図書館へ行った。田舎の小さな図書館だから冊数は多くないが、私の本棚と異なる本はある。そこで、手当たりしだいに適当に5冊借りて、そのまま読みふけっていた。

 何でもすることは山ほどあるけれど、なんだかもう全ての事が嫌で、だる〜って感じだったのだ。寝転がって、毛布をかぶってまず読んだのはこれ。

 

介護と恋愛 (ちくま文庫)

介護と恋愛 (ちくま文庫)



 東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ (ちくま文庫)でも冴え渡った突っ込みが、ここでも四方八方に向けられて、ぐいぐいと進んでいく。そのパワフルさには脱帽。

 「仕事も恋愛も介護も同時に来たらどうする?」という問から始まったというこの本で、彼女は父親の介護をした理由にについて、「ゴキブリほどの正義」だと書く。

 

いくら親でも臭いものは臭いし、重いものは重いんだ。そんなにイヤなら手放せばいいのに、なんで介護を手放さないかっていうと、このゴキブリみたいな私の心の中にだってゴキブリなりの正しさってもんがあるんだよ。でも所詮ゴキブリだから、辛い辛い楽したいって言っちゃうんだ。

 

  更に、怒濤のように襲い来る介護と仕事と恋愛の中で、こう叫ぶ。
 

  

  介護から逃げたくって、介護できない自分からも逃げたいんだ。そんな私を責めない周りの優しい目からも逃げたいしね。(略)
  あーまじ情けね。
  弱虫、情け知らず、恩知らず、嘘つき、卑怯者、メスブタ。
  っていうかあ・・・・・・
  っていうかあ・・・・・・。
  もうイヤなんだよおおおおおおおお!!

 
 
 
 なんてなんて正直で、だから安心する。あたしだけじゃないと。



 介護なんてしたくない。介護なんて、要は、汚れつきストレス付き重労働だ。
 
 
 
 昨日も掃除した床にウンチをなすりつけられると腹が立つし、はくパンツを汚したあげくに、ご丁寧にそれをびりびりに破って中のゲルをそこいら中にばらまかれると泣きたくなる。
 起きてみたら、寝る前に必死につくった料理に油だの酢だのその辺の生の野菜が丸ごと入っていたり、あげくに鍋が黒こげになってたら、ぞっとする。
 出かけなきゃならないのに、遅刻しそうなのに、生ゴミ入れに入れた残飯をあさって動かず、引っ張ってもしがみついて離れないと、暴力をふるいたくなる。怒鳴りたくなる。優しくなんぞ絶対にできなくて、泣きながら掃除をして洗濯をして、きっと怒鳴り声は近所にも聞こえていて、「また・・・」って言ってるんだろうなあと思う。少しサボって自分の楽しみと思っても、結局自己嫌悪で楽しめない。
 
 
 親の介護をする私を優しいというならそれは嘘だしホント、怒鳴る私が冷たいというのもホントだし嘘。

 
 徘徊していてもそれを放置するくらい冷たいけど、自分はそれほど好きではない渋柿をわざわざ買ってきて何時間もかかってつるし柿にもする。


 
 そういう矛盾だらけで、だからこそホントにホントに「もうイヤなんだよおおおおおおおお!!」と私も叫びたい。


 
 遙洋子の場合は、兄弟が6人もいて、兄嫁が中心をなって介護を行う中での介護だから、確かにとても恵まれた介護だ。そして2年の介護の後に、少なくも彼女は「介護は辛い」けど「介護から死への壮絶さは、同時に強く生を呼びかけられる過程でもあった。」と振り返る。そういう遙洋子は、それこそ東大で上野千鶴子にケンカを学ぶほど切れて、パワフルで、美しく、介護について相談する友人も持っている。恵まれた環境と力があればこそ得られた達観かもしれない。

 
 
 けれど、この道を進んでいけば、何かはあるのかもしれないと、思ってみたい。




 ってか、そうでも思わないとやってらんねええええええええ!