風がつよく吹いている
何となく気晴らしがしたくって、で図書館で本を借りた。とりあえず適当にとってみたのがこれ。数ページ読んでみて、さくさくいけそうだったし、多分明るく爽やかな話っぽそうだったので借りてみた。
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/06/27
- メディア: 文庫
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で、家に帰って一気に読んだのだけど、2時間もあれば読み終わるし、すっきりと終わる青春譚なんだけど、後味は悪くないのだけど、だけどだけど・・・、な〜んか今ひとつ残るものが無いんだよね。
というのは、私がブラックな大人になってしまっただからなんだろうか。爽やか過ぎて、何だか今ひとつなのだ。例えば、果汁5%くらいのオレンジジュース的爽やかと言うべきか。オレンジジュースなんだけど、すっきりして飲みやすいんだけど、だけど栄養になるのかと言われればどうもなあ、という感じ。本当にオレンジを搾ったジュースであれば、良くも悪くも濃い。爽やかな酸味だけでなくて、甘み以外にもほろ苦さや香りやぴりりとくる刺激があったりして、でもだから消化吸収して体を再構築する物質と成りうる。けれど、果汁5%くらいだと、糖分と若干の酸と水は摂れるのだけど、それだけ。
そういう人工的な爽やかさを感じてしまう作品だ。
お話は単純。無名の大学の弱小陸上部が、箱根駅伝を目指して寄せ集めのメンバーで頑張る話。陸上に関しては私はさっぱりなんだけど、陸上はおろか運動なんとものは全くのしていない未経験者を含むメンバーが、たった1年で箱根に出場できるまでになるって、アリ?しかも実際に箱根に出場できて、かつそれなりの順位をとれるなんて、何だか嘘くさい。
爽やかに頑張る事は良い。そして、その中で逡巡する事も、自分を見いだすこともあって良い。けれど、現実ってものは、頑張ればそれでOKなんてものではない。頑張っても結果が伴わない事は、非常によくあることだ。そういう中で、それでも前向きに頑張ることのきつさ、辛さ。でも、それでもやるしかないという、不屈の意志というか諦め。そうネガティブな部分がないと、何だかとっても絵空事に感じられてしまうのだ。
まあ、本なんてものは、気持ちよく成るために読むものでもあるので、そういう点ではこういう作も必要だとは思う。少なくとも2時間弱の時間をさくっとすごす事はできた。重い気分の時に、重い作品は願い下げ。
と言う観点で楽しめる作品ではあります。