こんなものを買いました
いつも行く産直市場の側には、古道具やさんがある。骨董というよりはまさしく古道具で、テントで屋根をしていないのでかろうじて雨ざらしにはなっていない。となれば、お宝なんてものはないだろうけど、何となくおもしろそうで覗いていると目についたのが怪しげな壺。ひっくり返してみれば、これが蛸壷なんだなあ。
手にとって見ていると、おじさんが近づいてこう言った。
「それは蛸壷で。大正時代のや。」
「大正時代のってどこで判るんですか?」
「底が丸いやろ。新しいぶんは底が平らになっとる。」
おもしろくなって、更に聞くと、古い時代の蛸壷は先が尖っているのだそうだ。
ざらついた肌は使い込まれた感がよく出ていて、形もなかなか趣がある。
欲しい!
って、思って一気に買ってしまいたよ。3つ買ったら7000円だった。これが高いのか安いのかはよくわからないけれど、まあ良いのだ。欲しかったから。
そして、持って帰ってざっと洗って、剣山を入れて花を入れた。
庭の枝を切っていれただけだから、かなりいい加減で先生に見られたら怒られるような生け方だけど、やっぱ緑が映るわ〜。
実は、私の習っている華道の流派では、「蛸壷に生ける」というやり方も習うのである。その蛸壷は、家元から買うのだけど、漁師さんなどから直接使っていた蛸壷を買う人もいる。実際に使われていた蛸壷は、海の中でたくさんのフジツボや貝がついて、それに生けた花はとても風情があってよいものだ。けれど、蛸壷も最近はプラスチックなどを用いるものが多くて、昔ながらの重い素焼きの蛸壷などはもう使われていないようだ。だから、欲しかったのよねえ。
と言うことで、今年の華展では、これを使って生けてみたいもの。
大正時代という蛸壷を飾ってがんがん使ってしまうのは、有る意味贅沢かしらん。