hyla’s blog

はてなふっかーつ!

犬は勘定にいれません


 これを読破した。

 

 図書館で見かけて、以前に読んだ「航路」が良かったし、後書きでも絶賛。「ヒューゴー」「ローカス」を受賞しているということだから間違いなかろうと借りてきて読み始めたのだけど、これがなかなか進まなかった。というのも、さっぱり状況が読めないから。

 
 タイムトラベルものということは、判る。で、古き良きイギリスの話なのは判るし、それからあんまり時間移動をやり過ぎると悪酔いのようなタイムラグに陥るらしい。そういう基本設定は判るのだけど、それ以外の点がなかなか了解できない。
 そもそも何故、「主教の鳥株」という妙ちきりんな名前のヴィクトリア調の花瓶を探しているのか。レイディ・シュラプネルとは何者で、何の為に大聖堂を復元しようとしていて、何の為に「主教の鳥株」が必要なの?


 で、ちょっと読んでは放り出したのは何度?

 

 でも、いい加減返却に行かなきゃいけない。で、意地になって読み、50ページを過ぎてシリルが出てくるあたりに来ると、俄然読みやすく成ってきた。そして、一気に読み進め、最後の最後には大騒動の全てが奇麗に丸く収まる。


 
 あー、気持ちよかった。

 
 
 SFを読んでいるのだけど、何だか読了後の雰囲気は、シェークスピア。喜劇「十二夜」みたいな健全な明るさがあって、とても楽しい。純粋に物語として楽しめて、コニーウィリスって、やっぱり上手いなあ、と感心。






 にしても、後書きを見ると
 「・・・・(というわけで最初のうち状況がよくわからなくても、あなたのせいではありません。)」と描かれていた。
 たしかに、最初は本当に訳がわからなかった。
 
 そして、同じく後書きには
 「(登場人物は一部共通するものの、直接の続編というわけではないので、未読の人もご心配なく)」とは描かれていたが、 やっぱりこれは姉妹編である「ドゥームズデイ・ブック」を読んでいたら、もっと判りやすくもっとさっさとおもしろさに気づけたと思われる。


 
 つーことで、 返却に行ったら今度は「ドゥームズデイ・ブック」を探してこよう。