三越で考える
土日と連続して、朝から仕事である。両日共に10時頃に仕事が終わる。ちょうど臨時収入もあったので、これ幸いとお買い物を楽しんでみることにした。
欲しいと思っていたのは、お茶うけに1袋ずつ個包装になっているクッキーと、挽いたコーヒーの粉を入れておく缶。別にスーパーでも売っているけれど、一度買うと何年も使うものだから、ちょっとおしゃれで良いのがほしい。そこで、まずは三越高松店に向かってみた。
三越高松店では、まずは地下でいつもの教会のクッキー。そして、コーヒーのハマヤで、ロータスというクッキー缶が奇麗だったので、缶入りのクッキーとバラで50枚入りを買ってみた。缶にクッキーを入れておいて、気が向けば食べてみるというのもおしゃれでよかろう。
そして、生活用品売り場の5階へと移動しながら、時間もあったので服売り場を一巡りしてみた。
そして、なんだか哀しくなった。
まだ1月の後半だ。バーゲンもやっているし、日曜日で、なのに売り場にお客はいても、店員の姿の方が目立つ。以前ならこの時期は人であふれていて、店員さんは次から次へと応対に追われていたはずなのに。マネキンの着ている服なんかの目立つものをちょっと見てみると、どれも半額。品質もいいしおしゃれ感もあるけど、半額になれば価格はスカートで6.7000円から1万円程度。ジャケット類が2万円程度からだろうか。ある程度の収入がある大人なら、買い頃だと思う。少なくとも以前はそうだった。
けれど、見てみると同じデザインのサイズ違いの商品がまだ並んでいて、「再値下げ」の札がかかっている。更に、それを着るだろうという年代の人が見あたらない。お客としてそこにいるのは、50代60代という人が多く、こうした洋服を自分の為に買う20代30代、そしてアラフォーがいない。
シーズン終わりになっても売れなかったら、これらの服はどうなるんだろう、と人ごとながら心配しながら歩いた。
そして、目的の生活用品売り場で、コーヒー用品のコーナーに行ってみた。いくつかのタイプのドリップセットがあったが、ちょっと見てみたかったこんなセットはみあたらず、コーヒーを保管する容器は並んでおらず、聞いてみるきにもならずに帰ってきた。
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なぜそうしたのだろうと考えてみると、多分何となく投げやりな感が生活用品の売り場、いや店全体に漂っていたからかもしれない。小さいことだけど、例えばコーヒーのドリップセットはただそこに置いているだけで、並んでもおらず値札もバラバラだった。売り場全体にも統一感がない。ナルミなんかの高級食器にしても、以前なら見るだけでも奇麗なシリーズものがいろいろとあったけれど、そういうのがあまりない。各シリーズのティーカップばかりが並んでいた。
地方や、作家ものの商品を週替わりでコーナーも、ぱっとしない。全体に、なんだかひどく元気がない。
催しもののコーナーでは華展が開かれていたけれど、その隣の呉服祭のコーナーはほとんどお客が入っていなかった。
そして帰りのエスカレーターの横を見ると、臨時休業の日程を知らせる掲示があった。
大丈夫かあ〜。
さんざん悪口のように書き並べてきたけれど、私は三越そのものは嫌いではない。昔、屋上に遊園地があった頃から知っているのだ。(年がばれるが・・。)就職したての頃には、頑張って背伸びして高い洋服を買った。着物だって、買ったし、買わなくても、おしゃれな商品を見て歩くのだけでも楽しかった。
けれど、そもそも買い物に費やす時間がなくてあまり来なくなり、高松で買い物をしても、ついつい夢タウンに行くようになってしまった。
何でだろう。バブル崩壊時にも似た不況に、確かにデパート弱かろう。けれど、あの頃より今の方がもっとわびしい感がある。なぜ、商店街に、三越に行かないのだろう。何が必要なのだろう?どういう戦略が採れるのだろう?
三越を出た後、夢タウンに行って、こちらでもぶらぶらと見て、買い物を車に積み込んで帰りながら、ネットショップも含めて私が買うものだけど、三越にはないものを考えた。
・ラフマやエーグルなんかのおしゃれで高性能なアウトドア用品やウェアのお店。
・アディダスやアシックスなんかの街着に着られるスポーツウェア。
・マックレガーやスウィッチモーションなんかのカジュアルブランド。
・着物を初めとした今時感のあるスタイリッシュな和物
・無印良品やエスニックの商品を扱う店
・LAVENHAMやARMENなんかの海外ブランド
・おしゃれなフェアトレードのお店
・海外の伝統的デザインのニット などなど
デパートには、おしゃれな洋服や小物はある。けど、そこまで気張らなくても良いと思うときのカジュアルブランドはないし、ちょっと目先の変わった安いエスニックな趣のものもない。
けど、上記のような商品をそろえるとなると、これはやはり大規模なショピングモールでなければ無理だろう。面積が限られる中では、どうしても切らざるを得ないものもある。また、年代が違えば好む商品も違うのが当たり前だ。
三越高松は、改装をしたときに「上質なサービスや空間」を目指して店内に椅子を置いたり、ホテルのような雰囲気を目指したはずだ。それから、グッチやエルメスといった高級ブランドを取りそろえた。そういうコンセプトと上記のような私の嗜好は異なってしまっているので、あまり行かなくなったのだろう。けれど、久々に行ったところで見たシンプルライフやなんかは別に悪くないと思う。地下の食品売り場の商品は(特に教会のクッキーは)好きだ。けど、行かない。なぜならな、それ以外がないから。他の買い物も一気にしたいので。
けれど、私のようにかつてはデパートを利用していたけれど、行かなくなった人は他にもたくさんいるだろうし、それを放置しておけばもっと尻すぼみになるのではないかと思ってしまう。三越になじみのある、お金のある中高年がいなくなったらどうするのだろう?伊勢丹と合併して若者に対するセンスを取り込むということだったけれど、それは上手く行っているのだろうか?
世の中全体がカジュアル嗜好を強めつつある中、デパートという形態自体が時代遅れとなりつつあるのかもしれないけれど、業界再編で三越がなくなってしまったりするのは寂しいと思う。
何とか生き残る道は何だろう?
何があれば行くだろう?
と、真剣に考える。
単なる買い物客なんだけどね・・・・。