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死者の短剣惑わし


 今日手を出したうちの1冊がこれ。

 

死者の短剣 惑わし (創元推理文庫)

死者の短剣 惑わし (創元推理文庫)

 待望のビジョルドですよ。ヴォルコシガンシリーズの「コマール」は未だ出ないまま、なんだかファンタジーのシリーズばっかり出てます。でも、それなりに売れてるんでしょうか?これを購入したのは、宮脇書店の南本店という所でかなり規模の大きな書店だったんですが、これは最後の1冊でした。(よかったね、東京創元社さん)

 
 で、何かすぐに読むのはもったいなくて、やっと今日になって読み出し読破。



 でも、何かな〜。微妙。


 いや、確かに人物描写はさすがにウマイし、情景も浮かんできて一気に読めます。それから、はしっこくて生き生きしたフォーンも、哀しい過去を持つ隻腕のダグも良いキャラなんですが、でも、話が単調!

 
 前半というより、最初の100ページで既に悪鬼が死者の短剣でもって倒されるわけですよ。そして、死者の短剣にフォーンの産まれる前娘が封じ込められるという思いもかけない出来事が起きて、後は何も起きないorz。
 その謎を解くべく二人で旅立つという流れはあるけれど、フォーンを軽んじる家族を説得して結婚の了解を取り付ける話が続くわけで、何かな〜。確かに、リアルではあるけれど、湖の民と地の民の間の違いというのが本質的な違いなのかどうか疑問。だったら、巡り会った二人が惹かれ合い、理解し合うまでにもっともっと長い時間が必要だろうと思います。ほとんど一目惚れと言った感じで惹かれ合う割には、地の民と湖の民は本質的に違うという。何だかそこが違和感の残る所なんでしょう。

 
 とはいえ、四部作の一部というので、話の展開はこれからが面白くなるのだと言い聞かせて今後を見守りたいところ。

 

 あと、表紙は日本の絵でマンガ絵でもなく、なかなか良い雰囲気で良いと思うのですが、タイトルはな・・・。
 「死者の短剣」までは良いのだけど、何で「惑わし」とつけるのだ?元は「惑わす」という動詞で、多分四段活用だとこれは連用形?だったら、用言に着ける言葉で「惑わし○○する」とついて成立するはずの後半がない。何か締めの単語がないので、どうにも落ち着かない気がするわけです。まあ、この形のタイトルを2部目以降も使い続け、全体がそろった所で意図が見えるのかも・・・。

 

 後書きによると、近々「コマール」が出されるという、その事はとっても嬉しいのだけど、この作品の次作も一年内に出さないと(年期の入ったビジョルドファン以外には)忘れ去られるよ〜。東京創元社さん、頑張ってね。