盆休み
盆休みを満喫している。本来は、あれもこれもやろうと思っていたのだけど、あまりの日差しのきつさと暑さにヒッキーと化し、ひたすらわんこの側で本を眺めている。
未読の本は山ほどあるわけで、とりあえず今日読破したのはこれ。
- 作者: レイ・ブラッドベリ,北山克彦
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: ハードカバー
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久々のブラッドベリですよ。ブラッドベリというと、
火星年代記や何かが道をやってくる (創元SF文庫)。萩尾望都の漫画化したウは宇宙船のウ (小学館文庫)も、「10月は黄昏の国」とかもすごい好きだったな。深夜に写りの悪いテレビで見た「火星年代記」も静けさに満ちた雰囲気は好きだった。
で、そういうブラッドベリの久々の新作と言うことで、随分以前に借りたもののずっと放置していたのだ。というのも、確かにブラッドベリの言葉の使い方は絶品。「SF界の詩人」なんだけど、ある程度慣れないと読みにくいんだっただよね。一番好きな「何かが道をやってくる」にしても、訳者は大久保康夫で、読みやすさには定評のある訳者なのに、確か読破する前に2度ほど挫折していた。そして、「タンポポのお酒」は未だに未読だったりして。
でも、いい加減返したい。そして、それには読破するべし。と決めてクーラーをかけた部屋で冷たい風の当たる所に寝っ転がって読み出した。
息をすってとめる。全世界が動きをやめて待ち受けている。そんな日々があるものだ。終わることをこばむ夏。
のっけから、わかりにくい文章の連続。しかし、ここでめげてはいけない。とにかく言葉に対して、ぎこちなくイメージをつくってみる。そして、どんどん進める。そうやっていくと、走り出した初めは体の節々が痛くとも、だんだんリズムに乗るように、緩やかにイメージが動き始め、だんだん読んでいる事を忘れてくる。
夏の終わり、錆のような「夏の終わり(Farewell Smmer)」おじいいちゃん、雑貨屋に並ぶ色とりどりのキャンディ。白い雪のようなケーキ。もう還らない夏の日。ダグ。
と、気がつけば中西部なのかな?古き良きテレビ映画でよく見ては憧れた60年代のアメリカの中にいて、夏の終わりを呼吸する。
そして、読み終わって空を見れば、澄んだ青空に白い積乱雲が立ち上り、始まったばかりの休みなのに、何か寂しい気分になってくる。
こういう、独特の寂しい気分は、ほんとにブラッドベリだね。特に話はあるわけではない。ただ、10月1日の、夏の終わりの気分を耽溺し、味わう作品かな、と思う。
でも、現実はまだまだ暑いので、更に夏の終わりの気分を味わう為には萩尾望都の「ウは宇宙船のウ」や、あと「ダグ、永遠の夏の日、タンポポ」といったモチーフが重なるたんぽぽクレーター 1 (プチフラワーコミックス)だな。
なんて事を書いてたら、赤い夕焼けが部屋に射し込んできて、ヒグラシが鳴いてる。
盛りを過ぎた夏は、寂しいね。