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 こんな本を読んだ。

アイアン・サンライズ (ハヤカワ文庫SF)

アイアン・サンライズ (ハヤカワ文庫SF)


 しばらく前に買ったまま、放置していた本だ。読み始めは割とすいすいいったのだけど、長編はやっぱり途中で止めるとダメ。ついつい放置してしまっていた。最近の活字は大きいので、以前よりページ数が多くなっていはいるけれど、それにしても厚い。650ページで、1000円。文庫なのに、このボリュームは何?読むときは、マジに読まないと、読み切れない。

 で、このたび、改めて読み始め、これが意外にもまた一気に読めてしまったのだ。

 
 
 そして、おもしろい。これは!


 帯には「果たして少女は生き残れるか?ノンストップSFアドベンチャー!」ってある。で、少女が主役で、少女目線で語られるのだったら、物語に入りやすいかな、と思って買ったのだ。けど、特に最初はなかなか世界に入れなかったのだ。
 

 ウェンズデイという少女が何かの秘密を手に入れて、追われる。で、次の瞬間には、全然別のレイチェルという女性の目線が入り、フランクの物語になって、フランツの物語に、惑星が崩壊して・・・・。って、だ〜か〜らあ〜。
 切れ切れの物語で物語の連続で、物語の大筋が進行するようでいて、なかなか前に進まなくって、そのうちに息切れ。というか、最初の100Pあまりを進んだ頃には、平日だとすでに睡魔に襲われてダウン。

 
 というのが、これまで放置してた理由。


 
 これが、休みにずっとだらだら読んでると、200ページをすぎたあたりから、俄然面白くなってくるのよ。
 
 
 
 それでなくても、この人は描写がうまい。人の描写もさることながら、タイトルともなっているアイアン・サンランズの様子、鉄爆弾によって恒星が超新星化していくあたりの描写なんかも基礎知識のあまりない人間でも何となくその様子がイメージできる。この力はすごい。また、人物の描き方もリアルでうまいんだ。
 そして、最初のあたりでは脈絡もなく登場してくる人物たち関係が、ページ数が進むにつれて明らかになって、仕込まれていた複線に気づかされる。基本的には推理小説的な謎解きな所もあるし、終盤に差しかかかるともう止まらない。

 

 この物語にどうまとめるのんだ?
 残りはもう少ししかないのに、どうするの?


 って・・・。

 

 おおおっっ!って感じにどんでん返しが続いて、誰が敵で味方なのかそういう事がどんどんとひっくり返されながら物語はすすみ、そして、快感の終末を迎え・・・。
 


 ウェンズデイの物語は終わったかもしれないけど、これってぜんぜん物語が終結してないやんか!


 この終わりって、次作があるってことだよね。

 

 で、後書きを読むと、この作品「シンギュラリティ・スカイ」によって示された世界の続編にあたるとか。こりゃ是非その「シンギュラリティスカイ」を読んで見なければ。けどさ、この作品の次はどれよ?もうすでに出版されているの?和訳はいつ読めるの?

 
 更に、著者のチャールズ・ストロスは、この作品も含めこれまでに3作もヒューゴー賞の長編部門にノミネートされているみたしだし、中篇ではすでにヒューゴー賞を受賞しているとか。確かに、手練れだよね。


 やー、楽しみ楽しみ!