hyla’s blog

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本を読む


 こんな本を読んだ。
 
 

死者覚醒 (ハヤカワ文庫NV)

死者覚醒 (ハヤカワ文庫NV)


 殺されて首だけが保存されてたお医者さんが、数十年後に死体と首がつながって蘇って・・・・って話。


 と聞けば、どうしても オールドSFになじんだ人間は、ドウエル教授の首 (創元SF文庫)を連想するだろう。あの話はあたしも大好きだ。何だかおどろおどろしているようでいて、でも何だか切なくって、今でもよく覚えている。随分子供の頃に読んだ本だけど、細かなストーリーまで(微妙に変化はしているかもしれないけれど)覚えている。

 
 そういうドウエル教授の首は死体とはつながれなくって、試しに別の若い女性の首が死体と繋がれたけど、こちらは冷凍保存されていた主人公の首が死体と繋がれて蘇る。もちろん今時の話だから、その辺の組織を繋ぐのはナノテクだし、基本的にNVのシリーズで出されているくらいで、SFとして評価するのは少し違うのかもしれない。位置づけ的には、医学系サスペンスってところだろう。


 全体的にはよく書かれていて、一気に読ませる。だけど、主人公をそもそも殺させ、アメリカをある意味支配するような医学界のドンになった宿敵との対決というのは、ちょっとだった。それだけ大きな存在になったのなら、なかなか倒せないだろうし、だいたいその後の主人公はいったいどうやって何を求めて生きていくのだろう。そこは、アルジャーノン的に、一端は覚醒したもののやがて拒絶反応が出て再び死んでいくんだけど、その過程で妻とも出会い、できる全てをやって・・・。って方が良い感じがする。あるいは、その宿敵が、この世の栄光の全てを手に入れたようで、その実もの凄い不幸だったとか・・・・。


 と、ストーリーの方は、今ひとつ乗り切れないところもあるのだけど、ある一定の時間読ませてくれるんだから、処女作でこれなら、なかなかの才能かなとも思う。


 でも「ドウエル教授の首」って、世界SF選集のベリャーエフの巻で我が家にあったと思うのだけど、どこにいったっっけ。同じ本に収録されていた(と思う)人間の寿命が3倍に延びる地衣類の話も好きだったなあ。


 読みたい・・・。