hyla’s blog

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モーさま2連発


 さて、今回2冊目の萩尾望都なんだけど、買ったのはこれ。

山へ行く (flowers comicsシリーズここではない・どこか 1)

山へ行く (flowers comicsシリーズここではない・どこか 1)

 
 さすがの萩尾望都。こちらも全くすごい作品ばかり。

 コメディあり、SFチックな作品有り、実験的な作品ありと、その幅の広さにまず脱帽。また、同じ作品の中に、コメディタッチとシリアスな要素を混在させて、しかも自然ってほんとどこまですごいんだか。そして、何より良いなあと思うのは、萩尾望都という作家が本当に漫画という表現方法と今も日々向かい合って様々な試行錯誤を重ね続けていると言うこと。

 こうした感覚は、手塚治虫とか石ノ森章太郎にも似ている。手塚治虫も漫画の神様と呼ばれるようになってさえ若手作家にライバル心を抱きつつ、常に新しいものを追い求めていたし、石ノ森章太郎も「ジュン」などの実験的な作品を残している。萩尾望都だって既に少女漫画という狭いジャンルにとどまらない数多くの優れた作品で熱狂的なファンを持つ大家だとおもうのだけど、それでありながら常に新しいものを開拓していく。そういうところで、心底描くことが天職なんだなあ、と思う。描かずにはいられない。描きたい。と、そう思っているのではないか、と思うのだ。そして、そういうおモーさまの作品が読めるのは嬉しい限り。

 
 特に印象に残るのは「メッセージ」。ぎりぎりまで単純化されたコマ割。セリフもごくごくわずかで、しかもたった16ページ。けれど、1枚の絵に込められた情報はあまりにも多い。立場によって年齢によって、そこからどこまでを読み取るかは異なるだろう。恐らくは、作者が考えなかった事を感じる人もいるだろう。どこまで読み取ればいいのか、正解なんていうのはないのだろう。読む人が、それぞれの個人的な体験をベースに感じ、考え続けて行けばよいのだ。良質の作品には、そういう風にそれぞれの内面を深く開いていく力がある。
 また、「くろいひつじ」も、ただ「ああ、そうだな・・。」と深く共感するし、もちろん「柳の木」もすごい。てか、どれもこれもすごい。全体的な質の高さが半端でありません。


 本当に死ぬまで読者をするから、ずっとずっと描き続けて欲しいものです。


 にしても、萩尾望都竹宮恵子といった「花の24年組」や「ポスト24年組」から考えても、あまりにも最近の作家がそれに比べ小さく思えてしまうのはどうして?

 
 私が把握していないだけだったら良いんだけどね・・・。