hyla’s blog

はてなふっかーつ!

練炭火鉢


 昔は冬の暖房というと、火鉢に掘りごたつにストーブだった。けれど、我が家には掘りごたつとストーブはあっても火鉢がなくて、代わりにあったのが練炭火鉢。手や小皿を置くのにちょうど良い台もついていて、なかなか暖かだった。練炭火鉢に網をのせて、お餅やおへぎ(味付けして薄く切ったお餅)を焼いたして、熱でふくらむお餅や反り返るおへぎを見ているのが大好きだった。寒いときには、カエルみたいにして火鉢を抱え込むように抱きついたりもしたっけ。


 だけど、練炭火鉢にも耐用年数はあって、我が家の練炭火鉢も多分20年くらい前にひびが入って壊れてしまった。以来我が家には火鉢に類するものはない。最近はホットカーペットとかエアコンとか石油ファンヒーターとかオイルヒーターとか、暖房もいろいろで便利なんだけど、何だけど、でもやっぱり今頃になると火鉢が欲しくなる。



 そして、先日近くのホームセンターへ行った時のこと、

 練炭火鉢を見つけました!




 あの懐かしい朱色の練炭火鉢。周辺道具も全部売っている。多分お値段総額で1万ちょっとだわ。包み紙には、麗々しく「総理大臣賞受賞の最高級・・」なんて文字が躍ってて、欲しい・・・・・・。




 欲しいいいいいいいいいいっ!


 あの昭和30年代の色あせたような朱色の練炭火鉢。練炭があれば、黒豆を炊くのも、小豆を炊くのも自由自在。シチューもいいな、それから死んだとーちゃんが趣味で買ってきたっきり、応接間で埃にまみれている鉄瓶でお湯を沸かしてお茶を飲むってのもいいな。鉄瓶で湧かしたお湯で、抹茶なんてのもいいよな。正月にはウールの着物でも着て、蜜柑を食べながら茶を飲む。でもって、練炭火鉢のそばで、文庫本とかを読むんだ。エドモンド・ハミルトンとか、アシモフとか小松左京とかそういうの。もう、暗記するほど読んだ「復活の日」でもいいなあ。ああ、渋いぜ!

 「♪お正月と言えば、こたつを囲んでお雑煮を食べながら、カルタをしてた〜♪」って感じの冬。




 いいなあ、いいよなあ。台所には黄色い薄いアルミの鍋。中ではお味噌汁が湯気を立ててて、炊飯器にはご飯。白いご飯に「アラッ」をのっけて食べて、後白菜のおつけものに魚の一夜干し。でもって、練炭火鉢にかかっている鍋の中から、つまみ食いをするんだ。ああ、懐かしの昭和・・・・。





 つーことで、練炭火鉢は今すぐにでも買えます。それを買うくらいのお金だってある。火鉢も欲しいけど、練炭火鉢だって、大好きさ。




 

 けど、どこに置けば良いのだろう。平成はおろか、昭和よりの物品がひしめき合う我が家。置く場所が・・・・。

 
 それに、理性を取り戻してみれば、練炭火鉢なんて、なくても生活できているんだから、必需品ではないし、この後に及んで更にモノを増やすにはどう考えてもバカ。夏になったら、いったいどこに片付けるつもりなんだろう。ストーブなんぞと違って重いし場所をとるし、本体だけではなくって、練炭そのものだって、それなりに場所をとるし、本当はこういうのを欲しがるのは愚かな事なんだろう。

 

 
 けど、欲しいものは欲しい!

 



 ああ、どうしよう、どうしよう。買っちゃあいけない。欲しがりは悪徳だ。でも欲しい欲しい・・・・。