hyla’s blog

はてなふっかーつ!

本を読む


 先週は土日ともお出かけだったので、久々の休み。ぼーっとして、ぼーっとして、それから買い物に出て、本と食料を買って、あれやこれや・・・・。


 で、今回買ったのはこれ。

大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))

大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))


 で、1.2巻買って読んだところだけど、どうやら現在も連載中らしい。結末というかネタあかしは最後まで行っていない。ま、それはしょうがないことなのであるが、何かこうおもしろいんだけど、微妙に違和感が残る。これはなぜだろう。


 まず、おもしろさというのは、まず1,2巻共、強烈にカッコイイ主人公の存在にある。そして、男性だけが罹患し死亡する伝染病によって男女逆転した江戸時代の大奥で、そういうカッコイイ男子が女子的ないじめや不合理の中じっと我慢はしつつ、しかししっかりと自分というものを持っている。いやまあ、ほんとカッコイイっすよ。女性の立場から見ると、こういう忠実に仕えてくれる恋人ってば理想。という事で萌え〜ってな感じ。障害があるほど燃え上がるのが男女の関係。そう言う点でも、江戸時代の封建制の中、不合理に死を選ばされるのとかってば、お約束だけどいい。実写版なら、キムタクあたりだな、この感じ。


 で、そういう点で良いな、と思いつつ、ふとSF読みをし始めると違和感が残る。そもそもの設定はまあ、良しとしよう。(特に若年の)男性だけかかる病気というのはどういうメカニズムで発病が制約されるのか、とかちょっと不思議だがまあそこはそれ、それがメインではないし、江戸の話だし・・・。

 
 しかし、男性の数が激減した中、なぜ大奥で男女逆転が生じるのだろう。ヒトであれ何であれ、生物はおおむね雌の方が子育てに多くのエネルギーと時間を費やす。特にヒトは子供は1度に1人しか産めず、おまけに妊娠期間が10ヶ月と非常に長い。だからこそ、雌はできるだけ良い配偶相手を選ぼうとするのだし、逆に雄は多くの雌を抱えて自分の遺伝子をより多く残そうとするのだ。それがハーレム制というものであり、大奥もその1種といって良いだろう。
 従って、男性が激減し女性が余っても、別にその男を1箇所に集めることには合理性がない。むしろ、余っている女性が労働者となり、男性は子作りにのみ勤しむ社会とかの方が自然だろう。あるいは女性が支配階級になったとしたら、妊娠期間が長い分、姉妹達を総動員して、血族を増やす母系社会にならないか?あるいは、江戸の頂点に立つ将軍にはお飾りとしての男性を置き、実質は女性による支配制度を作るとかの方が自然だろうなあ。いずれにせよ、多くの男性を集めて、たった一人の(女性の)将軍に仕えさせるというのはどうもなあ。それなら、男性を1箇所に集めて、遊郭をつくり、そこからトップクラスの男娼数人だけを城に入れる、といったシステムにならないか?

 

 と言うことで、社会システムがどうも不自然。そこが違和感なのだろう。




 この作品の良さは、男女を逆転させた中で、身分的に上位の女性に尽くすカッコイイ男性の恋愛と、そこに立ちはだかる障害だろう。その格好良さを実にうまく描いていると思う。はっとするいい場面も多い。



 しかし、SFとしてとらえるなら、あまりにも甘い設定と言わざるを得ないようにも思う。同じ少女漫画でも例えば、樹なつみ獣王星―完全版 (1) (HANA TO YUME COMICS SPECIAL)なんかだと、SF的に見てもしっかりとした設定やどんでん返しがあって、主人公の成長や戦いがあって、何よりカッコイイんだよね、主人公が(ま、樹なつみの作品はどれも男性がむちゃくちゃカッコイイのが特徴なのだが)。で、そういうのと比べると、ちょいと今ひとつ。



 しかし、シーンシーンを見た感じ、力のある人という事はわかるので、もっとフツーの作品も見てみよう。