妄想企画「日本漫画名作全集」
雑談をしていた時のこと、漫画はやっぱりおもしろいという事になり、
「竹宮恵子とかもいいよね」となにげなく口にした。
するとだ、「漫画大好き」と同様に言っていた20代後半女性はこのように返答した。
「それって誰ですか?」
がーん、がーん、がーん・・・・。
「ええっ。竹宮恵子を知らないの?ほんとに?」
と、驚愕する私。
「どんなんがあるんですか?」
と言うので、
「ええと、例えば「風と木の詩」なんて、むちゃくちゃ有名な作品で。あの作品から、同性愛とかジュネとかはやって・・・。」というも、
「知りませんねえ。」って・・・・・orz。
「ええい、それで「漫画好き」なんて口走るでない!こんな超古典的な作品くらい、読んでおくのだ〜。」ととっても言いたい私。
彼女は続けてこう言った。
「大和和紀はよく読みましたよ。「ヨコハマ物語」や「あさきゆえみし」はよく読みましたよ。」
なるほど。
「ほな「はいからさんが通る」は?」
「あ、南野陽子が主演していたやつですよね。」
そうきたか・・・・。
世代の違いってば・・・。と自分が年寄りであることをしみじみ自覚させられたのでありました。
しかし一方で、いくら若くっても竹宮恵子と言えば「ウオルフガングシリーズ」は知らなくても、「空が好き」は知らなくても、「地球へ」が判らなくても、個人の嗜好の問題はあっても(私もどっちかと言うと苦手だったけど)でも「風と木の詩」くらいはしってて欲しいと思うのです。(せめてタイトルだけでも)それって、萩尾望都の「ポーの一族」を知らない、山岸涼子の「日出処の天子」や「天人唐草」や「アラベスク」を知らない。あるいは、もっとわかりやすく手塚治虫の「火の鳥」や横山光輝の「バビル2世」を知らないみたいなものでは・・・・。
と、考えていて思いついたのは、彼女らは、結局リアルタイムで漫画を読んできたわけでなく、現在も怒濤のように出版される膨大な漫画の中で、どのようなものが名作としてスタンダードであるのかを必ずしもは知らないだな、ってとこ。
そしたら漫画も玉石混淆でいろいろあるけれど、いま現在でもこれだけ膨大な作品があるのだから、そろそろ名作全集とか出版してもいいのじゃないかしら。個人の作家の著作集はよくでているけれど、出版社の枠を超えて、古典的名作と言える本をハードカバーで100巻くらいで出して欲しいなあ。でもって、図書館に置いてて欲しい。いろんな出版社が日本文学全集や世界名作文学全集を出しているけど、あのノリで日本漫画名作全集。月5巻くらいずつ配本して、解説をつけて出してはどうだろう。手塚治虫のあたりは割と図書館にも入っているけど、もう60年代から90年代の漫画でも評価の固まっているものはそういった出し方もできるのではないだろうか。どうしてもダメなら、例えば小学館漫画賞をとった作品を小学館が全集にするとか、そういうやり方もありだと思う。
好みはいろいろでも、漫画を読む者なら、基本としておさえて置くべき本はあると思う。これからの若者に、現時点ではあるけれど「これは名作だと思う。まあ読んでみな。」って伝える活動も必要だと思う。
漫画評論という分野もあり、漫画学部もあるご時世。
と言うことで、世界に誇る日本の漫画文化を後生に残すべく、出版社の皆様ご検討のほどよろしくお願いしたいところであります。