hyla’s blog

はてなふっかーつ!

3月の水辺


 少し速く帰れたので、マルクと双眼鏡をもって散歩に出かけた。

 夕暮れがかって、暖かくなった水辺では小さな羽虫がひしめき合って舞っている。それを食べようと、水の中からジャンプしては落ちていく魚が、水面にいくつもの波紋を作っていた。

 コガモは、昼間の休憩も終わり、再び動き出していて、あちこちで水中嘴を動かしている。浅い水辺では、よたよたと歩きながら、しきりに何かを食べている。


 「ケレレレレ・・・」

 と声がした。聞き慣れない声に周囲を見てみると、何とクイナのシルエット。ヒクイナ。それも2羽いる。こちらで双眼鏡で覗いているのを気にとめる風もなく、無造作に中州に上がり、水に近いところで何か土の中の何かを食べている。細い足を優雅にすいっ、すいっと動かして、時折尾羽をピッと動かしている。こんなにじっくりとヒクイナを観察できることはそんなにない。いつも、見かけてもシルエットだけを残してさっさと藪に隠れる奴らが、のんびりと食べている。何だか無性に嬉しくなりながら、ひたすらに眺めた。

 マルクは、退屈してじれてしきりに綱をひっぱるけれど、それをなだめて、眺め続けた。


 1羽はかなり頸から腹にかけての赤色が鮮やか。それに対して、もう1羽は少し色が薄い。けれど、どちらもバン何かではない。確かにヒクイナで、このまま今年もこの水辺で繁殖してくるととても嬉しい。


 2羽のヒクイナが頭をつき合わせるような形になったとき、また
 
 「ケレレレレ・・」

 と声がした。




 あれ?鳴き声はヒクイナのもう少し後ろの藪から聞こえている。



 と見ると、そこにもクイナのシルエット。でもよく見ると、それはバン。そうか。バンの鳴き声なんだ。






 しばらく、じっと見ていた。コサギが長い冠羽をなびかせながら、じっと佇んでいる。ヒクイナが、少しずつ移動して藪に入ってしまうまで、そのまま見ていた。






 やっときりをつけて海に向かって歩いて、今度は河口で「キョキョキョキョ」と激しく鳴きながら飛び交う細い翼の鳥を見た。黄色のアイリングはコチドリ。5羽を確認する。コガモが「ピリッ、ピリッ」と鳴きながら移動して、それから海の上ではヒドリガモが200羽ほどいただろう。枯れアシの中では、アオジがしがみついてアシを一緒に揺れていた。





 気がつけば驚くほど賑やかになった水辺を見ながら、しみじみと季節を感じて、それから泣きたくなるほどに嬉しくなる。










 つか、んな事言っても「何それ?」の世界で生きているんだよね〜。ええ、いいんです。どうせマイナー。どうせオタクさ・・。