hyla’s blog

はてなふっかーつ!

ナメクジはすごい

ナメクジの脳を見る


 午後から、県内の某私立大学での実験をさせてもらいに行った。薬学部での授業の体験だったのだけど、なかなかに楽しい。

ここ2,3年、どこの私立大学でも薬学部がどんどこできていて、そこもできだちの薬学部で、もうそりゃあ設備はゴージャスこの上ない。きっと一台でも億の値段がしそうな機械がぞろぞろ。


 そして、実習の内容はというと、ナメクジを使って、連合学習の効果を確認するのと、ナメクジの脳の解剖だった。


 何でまた、脳や行動の観察にナメクジなん?と思ったが、軟体動物は結構神経系の観察・実験にはgoodな生き物らしい。ニューロンの数が少なくて、おまけに細胞の大きさが大きい。何と一細胞で100μmのニューロンもあるのだとか。それでいて、長期記憶を伴う学習ができて、更に体内から脳だけを取り出しても、一日くらいはそのまま脳が機能している!


 ナメクジ、恐るべし!


 
 で、そういうナメクジ(コウラナメクジ)を使って、まずは学習の実験。にんじんジュースに寄ってきたナメクジに、苦い味のある物質を与えた場合に、にんじんジュースを避けるような行動をとるようになるか、という実験。更に、そのナメクジにある種のタンパク質の合成阻害剤を与えると、学習行動(この場合は、にんじんジュースを避ける行動)の記憶が悪くなるのだとか。つまりは、記憶には何らかのタンパク質の合成が関わっているらしい。

 てことは、そうした記憶に関わるタンパク質の合成を抑制する薬品とか、逆に促進する薬品とかができたら、それって「お馬鹿になる薬」と、「お利口になる薬」ってわけで、そんなことができると「アルジャーノンに花束を」の世界が現実のものに成るってことだわ。


 すげーぜ!



 

 そして、更にはナメクジから取り出した脳を実体顕微鏡で見せてくれたのだけど、「君らもやってみて良いよ。」ってことで、新しいナメクジと、実体顕微鏡と、無茶たっかそうなピンセット等、一式を用意してくれていた。




 や、やりたい・・・・・。



 ああ、でもあたしは主役じゃないの。基本的に本日のあたしの仕事は記録とかそういう奴で、ついて来ているだけ・・・。主役の若者どもは、これが「きゃー。」とか「きしょー」とかうじうじするばかり。「なら、あたしにやらせて〜。」と言いたい気持ちをぐっとこらえて、「こんな機会めったにないわよ〜。ここでやらなきゃ損!」とか勧め、そして不器用そうにやるのを一生懸命デジカメで記録した私。ちゃんと仕事したわよ〜。


 でもまあ、最後に誰もいなくなってから、実体顕微鏡を覗いたら、やっぱピンセットを手に取っちゃって、ついつい脳の取り出しにトライ。ちなみにもう一人来ていた同業者も、同じように帰る前のわずかな時間に必死で同じように脳をいじくってまして、まあ、そう言うのについつい熱中しちゃう人間だから、こういう職業やってんですよね。


 ああ、最後までやりたかったなあ。こんな機会もう二度とないだろうし・・・。