何の骨?
私の勤務先には、いろんな古いものがごろごろと残っている。棚の中とか、引き出しの中とか、それはもう(ある種の人にとっては)お宝がざっくりこである。
で、そんな中に写真のような骨がある。初めてこれを見たときには、私にもさっぱり訳がわからなかった。いったい何の骨なんだか・・。
当然だが、ラベルもなければ、記録もない。いつ頃のものだかもさっぱりわからない。昭和以前であることは確かだけど、戦後だか、戦前だか、ひょっとしたら大正か、あるいは明治か?実際、明治の頃の物品もあるだけに、そこまで検討しなければ成らないのである。
で、時代もわからないわけだから、その経緯もわかるはずもなく、せめて何の骨くらいは突き止めたいと思っていろいろと調べてみた。
形からして、頭骨。で、特異な形を醸す前部に異様に伸びた突起は何か?というと、これはどうやら鼻らしい。と言うことは、鼻の長い動物で、陸生動物では、こんな形はあまり見たこともないから、海生動物、と検討をつけて調べたら、何とかわかった。
やっぱり海の生き物で間違いない。瀬戸内海もしばしば見られる海生ほ乳類「スナメリ」の頭骨のようだ。
でも何でスナメリの頭骨があるんだろう?誰が、置いたんだろう。
で、よくよく眺めて見ると、この頭骨の左上部には3㎝ほどの穴が開いている。死体、あるいは頭骨になって開いたものとも思われない。と言うことは、この頭骨の持ち主は、恐らくは銛のようなもので突かれて死んだんではないだろうか。
こう、例えば、漁師の網に引っかかって、死んで、でそれをもらったとか・・・。
いろいろと、想像をたくましくさせられる頭骨であることは間違いないのだけど、一つだけ断言できることがある。
それは、標本にはラベルをつけることが大事 ってこと。
あたしの持ってる頭骨を置いていく時には、ちゃんとラベルを付けて転勤しよう。