嫌われる生き物たち
夕方、机に向かって仕事をしていたら、少し離れた席の男性の声が聞こえた。
「うわっ、何やこれ、うわ、むこ行け!」
「何ですか?」
「クモや、クモ。」
大騒ぎをするのだから、どれほど大きなクモか、と見てみれば何と1,5cmほどのクモ。アシダカグモ(あの、脚まで含めると10㎝くらいな奴)でも出たかと思ってみれば、何のことはない。
「逃がしてやりますよ。」
と、声をかけて、捕まえてそのまま窓の外に放りだした。
さらにしばらくの後に、今度はハチが入ってきた。
「あーっ、ハチ!」
「え?あ、ほんまに。キイロスズメバチの働き蜂かな。」
ということで、これまた対応をした。
まずは、一端室内の照明をすべて切る。ハチが光に誘われて窓際に移動したところで、軽く追って開けた窓の方に誘導し、一件落着。
2件続けて対応をしたものだから、こう問われた。
「すごいな。何もこわくないんですか?」
「だって、さっきのクモも、ハチも害はないし、攻撃的にもなってないですよ。危険はないんですよ。」
「いやあ、頭ではわかってても、駄目やわ。」
でもなあ、もし自分が生まれついてハチやから、クモやからというだけで嫌われたら悲しいだろう、と思うんですがねえ。
自分がされて嫌なことは、他のものに対してもしない、というのは駄目?