解剖大会
毎年年度初めにやっている恒例イベント、「解剖大会」をやった。昨年はタヌキを、その前はイノシシを、さらにその前はハクビシンをやって、今年はノウサギである。勤務先から出たところの国道11号に落ちていた、例によって交通事故した個体である。こういう用途があるかも・・・。と思って冷凍庫に放り込んでいたのだけど、いよいよ出番だ。
さて、このノウサギ、何とも体表寄生虫が多い。ダニだらけ!やあねえ。マダニの1㎝以上になるようなでっかいのがごろんごろんしている。さぞかしかゆかった事だろう。
そして、やはりカラスは素早い。私が回収した時には、すでに肛門からつつかれてしまっていた。カラスは食いしん坊だから、下手したらつつき出されて内臓は全くない、なんてことも結構ある。でも、今回のノウサギは、思ったより状態がよくて、内臓もきれいで、全部そろっててよく観察できた。
そして、今回のヒットはやっぱり盲腸だろう。タヌキの盲腸は3㎝あるなしである。けれど、体長30㎝弱のノウサギの盲腸はのばして見ると50㎝ほどもあって、太くてでかい。調べて見ると、ウサギはこの盲腸で飼っている微生物に食べた植物繊維を分解させ、タンパク質などを合成させた後、出した下利便状の「盲腸糞」をそのまま肛門から食べてるそうな。不思議な習性である。あんまり栄養のなさそうな植物だけで十分成長するには、やはり秘密テクニックがあるのだ。
ということで、解剖したノウサギは骨格標本用に処理して終わった。
疲れた・・・・orz。
にしても、悔しいことが一つ。このイベントをやるにあたって、「解剖大会やるからきてね!」って感じのビラをまいたのだけど、それを見た管理職が昨日私のところへ来てこう言ったのだ。
「今度解剖大会やるんやて。」
「ええ、そうです。今年はノウサギです。」
「それって、拾てきたんやろ。」
「そうですよ。前の国道の歩道に落ちてました。朝のうちに拾ったし、冬にひろったぶんやし、鮮度も悪くないと思いますよ。」
「まあ、十分気をつけると思うけど、病気とかには気をつけてな。」
「大丈夫ですよ。事故の個体やし、使い捨てのゴム手袋もちゃんと用意してます。」
「それから、くれぐれも食べさせんといてな。昔とちゃうけんな。」
・・・・・・。
ひどいわ、あたしの事をそんな風に見てたんですか?
そんなにあたしの事が信じられないんですか?
ひどいわ、もう、泣いちゃう・・・あたし。
というのは嘘ですが、何か大きく誤解をされていると思う。
生物学に対する興味を喚起し、実際に見て触るという貴重な自然体験の機会を作るために耐え難きを耐え、忍びがたきを忍び、立ちんぼの汚れ作業も厭わずに、忙しい間を縫って段取りして・・・。
それなりに努力してんだよお〜!馬鹿あ〜!
畜生!そんな事言うなら、ホントに喰っちゃうぞ!