母は大変
久しぶりに朝ゆっくりとしていた。庭に出てうろうろしていると、何やら騒がしい。
「キチキチキチキチ・・・・。」
時ならぬモズの声。
何故に今時分に?
と思いながら声のする方を見てみると、1羽の雌のモズが隣の家の屋根にいた。見ていると、何やらしきりに覗き込んむように下に向いては
「キチキチキチキチ・・・」
とうやっている。
ん・・?
と思いながら、見ていると別の方向からもう1羽のモズが飛んできた。小柄で尾羽は短い。ついでにクチバシの端は黄色くて、色も地味めだ。つーことは、これってひな鳥。巣立ち直後の雛だ。見ていると雛はもう1羽いて、そろって庭の杏の陰に隠れている。
で、その背後のブロック塀をしきりに気にして鳴く母鳥。
更に、そーっと近づいてみて、ようやく謎は解けた。何とブロックのはしに1匹のネコが居るではないか。このあたりをいつもうろうろしている半野良のネコだ。こ奴を警戒して親鳥は鳴き立てているわけだ。
親鳥は何度も近づいては、ネコの頭の上から「キチキチキチキチ」と鳴き立てて、ついにはネコは逃げ出してしまった。
偉いぞ、母さん。
その後も一日、あっちこっちで、親鳥は「キチキチキチキチ」とやっていた。
巣立ち直後のひな鳥なんて一番危ない時期だし、母は気が気でないのだろう。
にしても、一日あの大きな声で泣き続ける母は大変だ、としみじみ・・・。