逆勝手
土曜日は、お茶の日だ。今日も朝から、先生のお宅に出かけた。
お茶室に入ると、今日は大板がしいてある。夏は、風炉という金製の火鉢みたいなものに釜をかけてお茶をする。その風炉を置いてある板(敷板)が普段のものではなく、60㎝角くらいの黒塗りの板で、これを大板というのだ。大板になると、杓の置き方とかが普段とは変わるので、お点前が変わる。
「これって、ここでしたっけ?」
とか、言いながら何とか一通りおわった。
(今日はこれで終わりだよね。これなら早く終わりそう。ラッキー!)
と、内心思っていた。そこへ、先生はこうおっしゃったのだ。
「今日は時間もあることだし、逆勝手のお点前をしてみましょう。」
は?逆勝手え!
そう、逆勝手だ。通常お茶ではお茶を点てる人の右手前にお客が座る。これを本勝手という。これに対し、お点前の左前にお客が座ることもないことはない。部屋の都合で変則的な位置に炉が来たときにこうなるのだが、これを本勝手に対して逆勝手という。
が、こうなると、お点前が左右逆になるのだ。普段右である道具は左。普段、右回りに歩くところは左回り。
一緒にお稽古している人も私も、それぞれ10年以上習っているから、本勝手のお点前は、こう、もう既に体に染みこんでいる。それが、逆う?
「ええと、ここって右から回るんですよね。で、ここが左?」
「いや、そこはそのままで次が左!」
「え、ここはそのまま〜?」
かくして、お点前をする頭は混乱をきたす。ああ、もう訳わかんない!
「今はお茶会がない時期やし、こういう時期に勉強しないとね。」
と、先生はおっしゃる。
へへ〜。ごもっとも!
(でもでも、早く帰りたいんですけど・・。)