hyla’s blog

はてなふっかーつ!

襲撃

襲われる



 勤務先の敷地にある茂みの前を歩いていたとき、何か異常なセミの鳴き方を聞いた。「ジーッ」という音はアブラゼミの鳴き声だけど、何か変?こう、緊急事態といった感じだ。
 気になって音の源を探した。地面のほうだ。2mほどの灌木の茂る茂みに入り込み、見ると思わず「げっ」と思うような光景が繰り広げられていた。 


 そう、今まさにアブラゼミスズメバチに襲われて断末魔を迎えようとしているではないか!襲っているのは大きさからみて、オオスズメバチの働き蜂のようだ。スズメバチって、アブラゼミを襲うんだ!


 
 これは記録しなきゃ、と焦ってデジカメをとりに走った。戻って来たら何とスズメバチは2匹に増えている。鳴き立てる蝉を尻目に、スズメバチは胸部と腹部の境目にかじりついている。蝉の羽ばたきが弱くなり、そして、鳴き声も途絶えた。

 

 スズメバチはそれでもまだひたすらに囓っている。見ているうちに断面が見え始めた。凄いあごの力だ。どんどん切り取って、遂に頭胸部と腹部が分かれた。羽根はとっくに切り落とされてしまった。スズメバチはそれぞれ頭胸部と腹部の断面から内部を囓っている。肉を切り出し、いらない外骨格の部分は切り捨てる。やがて自分の頭ほどもある肉の塊をつくった。一匹が肉団子を何度かくわえ直して、ふっと浮かび上がる。こちらに向かって来たので慌てて身を引くと、そのまま低く飛んでいく。と、金網にぶつかって一度落ちる。また団子をくわえ直して、南に向いて飛んで行った。


 振り返るともう一匹も、肉団子を作り終えている。同じようにゆっくりと南の方向へ飛んでいった。


 後にはアブラゼミの羽根と、内部がなくなった胴体が転がっていた。ほんの僅かな時間なのに、更にその残りを狙ってアリが集まっている。きっと明日にはほとんどわからなくなってしまうだろう。



 クマゼミに比べてアブラゼミは、小柄なぶん捕食者が多い。けれど、カラスやヒヨドリと言った鳥や野良猫などがアブラゼミを食べることは知っていたけれど、スズメバチが食べるというのは初めて知った。



 恐るべし、スズメバチ