本を読む
こないだ久々に本屋に寄って、何と言うこともなく見ていて、ついつい買ったのがこれ。
- 作者: ロバート・J.ソウヤー,Robert J. Sawyer,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/02/01
- メディア: 文庫
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やっぱり、ヒューゴー賞とか、ネビュラ賞とか、世界幻想文学大賞とか、そう言うものにはとっても弱い。ついつい一応は読んでおこうか?と思う。
で、読んでみてだけど、まあハズレではなかったといえる。平行宇宙のネアンデルタール人が進化した宇宙から、突如として事故でやって来た男とその周囲の悲喜こもごも。時代設定や新しい技術論とかそういうのがメインではなくて、人間の(生物の)話なのだよね。だから読みやすい。そして、ネアンデールタールの生活習慣が興味深い。もちろん、最新の知見をもとに創造力をふくらませて描いているわけで、悪い言い方をすれば嘘なのだけど、リアルである。繁殖期意外には男女は一緒にいないとか、暴力を押さえる手だての発達のしようとか、宗教のとらえ方とか。特に、コケで覆われた地面の床って良い感じ。そういう家ってすんで見たいと思う。
また、表現力も巧みで(訳もうまいし)、全体に非常にリアルに映像を思い浮かべることができる。特に冒頭のシーンは秀逸。警報に驚きかけつけると、暗い巨大な闇の中に浮かぶ大きな水を満たした球体。その中に浮かぶ人影。助けるために服を脱いで、意を決してその中に潜っていく。そのまんま映画になりそうである。後の方がちょいだれるけど。
ただし、この物語って、全然終わってなくて、そうやら3部作。2巻がでたら、ちょっと読みたい。だけど、読者を惹きつけ続けるためには、事件を起こしたり、新しい問題を生じさせたり、いろんな技が必要だろう。どういった技を繰り出してくるか、興味深い。一作目より更にグレードアップしてくれるといいのだけど。