花を飾ると・・

　久方ぶりに、周囲をよく見てみると、落葉樹の小さな芽が動き出している。ケヤキもアキニレもエノキも小さなまだ茶色の葉が見える。面白いのは、新芽の展開と同時に蛾や蝶の幼虫が卵からかえってくること。

　先日もあまりにきれいなので、「江戸彼岸」という桜を２．３本折って職場の机の上の花瓶に飾っていた。花が散った後も、緑の葉の伸びてくる様を見たくてそのままに置いておいた。すると、どうもその枝の下に何か黒いものがぱらぱら落ちてくる。何が？と思ってよく見ると１ｃｍ程の小さなイモムシが葉を食べているのだった。初めから姿が見えたりはしていなかった。だからどこかに卵があったのだろう。そして、屋外よりは多少温度もある室内で孵ってきたのだと思う。

　まだ誰にも気づかれていないので、イモムシはのんびりと葉を食べている。けれど誰かがそのイモムシの存在に気づくといけないから、明日くらいにそっと元の木に放して来ようと思う。

　ちなみにその枝には同じく小さな小さな、１ｍｍくらいのクモのいる。こちらもそっと逃がして来よう。

　春になると、生き物は一斉に動き出すのだ。