獣医さんへ行く
ジョジョとマルクを獣医へ連れて行った。狂犬病の予防注射のためである。平日に行けるわけもなく、休日もなかなか難しいので、時間のあるときにすませておきたいわけだ。マルクはマルクで、ジョジョはジョジョで、当然病院は鬼のように嫌がる。逃げ回る2匹を一人で確保することは困難だし、仕方なく1匹ずつ連れて行った。
最初はマルクだった。病院のドアを開けて入ろうとすると、もう既に帰る体勢に入っている。しょうがなく抱き上げて中に入り、そのまま診察室に入ろうとしていると、いきなりマルクが「いやじゃあ〜。僕はいやんだ〜。」と暴れ出した。人の胸をひっかいて腕の中から抜け出し、そのまま床に飛び降りた。お医者さんは笑いながら出てきて注射をしてくれた。
「お金は次のイヌを連れてきてから払います〜。」
と、そのまま家に帰り、続いてジョジョを連れ出す。車の中でジョジョは大人しく助手席に座っていた。これなら大丈夫?とちょっと安心。病院では別のイヌが来ていたので、座って待つことになった。他には誰もいない。ジョジョは家と同じように人の膝に座って胸のもたれて甘えてくる。いい感じだ。
が、お医者さんの顔を見ると態度は一気に変わった。かりかりと床をかきながら必死で逃げようとする。しょうがなく押さえ込みに入り、身柄を確保する。注射はあっという間に終わった。お医者さんは笑いながら言った。
「ご苦労様でした。」
まさしく「ご苦労」。
そしてお金を払う時には、受付の人にこう言われた。
「ジョジョちゃん、太りましたね。」
やっぱりばれたか!ジョジョは昨年同じ病院で非妊をした。だから姿形だけでなく、皮下脂肪の付き方まで把握されているのだ。
「何か毛並みも良くなりましたね。幸せそうですね。」
うんイヌの生活の中では「極上」の暮らしをしていると言って良いだろう。毛並みもよくなるはずだ。顔つきも優しくなるはずだ。
が、お金を払い終わり、病院を出ようとしてふと気がついた。来ていたセーターの胸の部分が激しく破れている!こ、これは・・・・。そう、マルクが暴れて破りやがったのだ。着ていたのはそろそろ気温を上がりかけたし、ということで薄手のカシミアのセーター!最近は安くなったけど、それでもカシミアだよ。今年おろしたばっかりだよ。ジョジョの、マルクの毛がついても目立たないグレーのカシミアのセーター。
ええもう、どいつもこいつも!
しつけに失敗してます・・・。