その時マルクは・・
いつもの通りだった。ジョジョは炬燵の中に潜り込んで丸くなっている。マルクは近くで寝そべって、体を舐めている。本日の特選素材について、テレビがしゃべる続けている。外では静かに雨が降っていた。
マルクがゆっくりと立ち上がる。そして、おもむろにお座りをして、小首をかしげた。まるでビクターのイヌのような姿で、何かに聞き入るかのようだ。
少し開いた口の間から、少しだけ赤い舌がのぞく。何かが見えた。透明なそれはだ液?だけではない!
ぎえええええええええ・・・・・・・!
口からまるでカレーのような、粘りけのある黄色いものを出した。もどしちゃったよお!
と、とにかく後始末である。慌てて洗面所に行ってぼろタオルをひっつかんで、ぬぐい取る。1枚では足りない。慌ててもう一枚とってくる。2枚のタオルと山ほどのティッシュでなんとか吐いたものをとることはできた。
けれど、ホットカーペットカバーの上には大きくはっきりとしたシミが。おまけに濡れている。
・・・・・。
どうしようもない。洗濯である。
時は10時。
外は雨。
どう考えても洗濯に適しているとはいえない。けど、しょうがないではないか。炬燵を動かして、カバーをはぎ取り、そのまま洗面所の洗濯機に放り込んだ。山ほどの洗剤を入れる。10分にセットして、居間に戻った。
マルクは、少々ばつが悪いのか、座り込んで頭を下げている。人の顔を見ると、ちょっとだけまた頭を下げて見せた。けれど、ジョジョが甘えて膝の上に乗ると、ゆっくりと鼻面を脇の下から突っ込んでくる。フンッと鼻を鳴らしながら、ジョジョと人間の間に割り込むように近づいてくる。そして、いつものそのままコロリンと転がって、腹を見せて、ブフブフと甘えてきた。
「僕の記憶は8分しかもたない。」
とメモに書いて、首輪にはりつけてやりたくなった。
マルクへのお願い。
頼むから、吐くまで食べるのは止めてください!