入ってくる
朝起きると、階下へ降りる。その時の戸を開ける音や、階段を下りる音を聞いて、犬たちが階段を降りたところで待っている。しっぽを振って、踊るような足取りで、つきまとう。2匹いるから、それぞれが「私こそ、最もあなたを愛しています。」と、まるでシェークスピアのリア王に出てくる3人の王女のように全身で愛を叫ぶ。
というかね、愛情を示してくれるのは、率直に言って嬉しい。うん、嬉しい。が、いくら何でもトイレの中にまで愛を語りに来るのは困る。
今朝、トイレに入っていると、いきなり少し空いていた戸ががらりと開かれた。マルクが鼻を突っ込んでいる。中に入ってしっぽを振って、何ももらえない、と確認して出て行った。
次にジョジョがやってきた。ふさふさしたしっぽを振って、伸び上がり、膝に前足をかけて、顔をなめに来る。一心にしっぽを振りながら、顔をなめる。
更にそこへマルクが来た。覗き込んで、ジョジョが甘えているのを見て、自分も近づき、顔を寄せてくる。
ここはトイレである。究極の、プライベートスペースである。
「出ていかんかい!レディに失礼であろうが!」
と言ったが、自分達の気が済むまで甘えてから、犬たちは出て行った。
舐められてます・・・・。