hyla’s blog

はてなふっかーつ!

夏が来れば思い出す…

 お茶から帰った午後、長袖を着込んで帽子をかぶり、蚊取り線香持参で庭に出た。この所忙しくて放置しっぱなしだった庭の草抜きだ。35℃の中で草抜きはさすがにしんどい。死ぬとしゃれになんないので、2時間もしないうちに切り上げた。


 でも、そうやって庭の奥に入ったから見つけたものがこれ。ガガイモ科のガガイモという植物だ。


 どうと言うことのないただのツル植物で、河原なんかにごく普通に生えている雑草だけど、花は地味だし知っている人の方が少ないだろう。けれど、私にとっては、思い出深いというか、見る度に微妙な気分にさせられる植物である。何となれば、実はこれ私の卒論テーマだったので…。



 ガガイモ科というのは変な植物で、花粉が塊になった花粉塊をつくるという特徴がある。同じく花粉塊をもつラン科と並んで、花の形と訪花昆虫の関係に特殊化が見られる植物なのだ。
 で、当時与えられたテーマは「何でガガイモはあんまり種ができないのか、花粉塊と虫の関係を調べて」と言う事だった。

 
 昔の大学では、丁寧な指導なんぞあるわけない。しかも私の担当教授は電子顕微鏡を使った植物形態が専門の先生だったので、電子顕微鏡での形態の観察は教えてくれたけれど、それ以外は全く放置だった。そこで、とにかくガガイモを探しては、訪花昆虫について調べた。夏のちょうど今頃、朝から夕方まで花の前に座り込んで、ひたすら花を訪れる昆虫を写真に撮り、採集しては同定の為の標本をつくった。

 
 そうしてわかったのは、訪れる昆虫の特に蜂類に花粉は付着すると言う事。そして、受粉して未熟な果実は結構できるし、花粉の発芽率はそれなりに高いのだけど、未熟なうちに落下してしまうものが多くて、成熟に至る種子は少ないという、何ともそれだけのショボイ結果だった。しかも、観察に対して統計検定とかを全く考えてないというもので、とりあえず単位はくれたという卒論だった。


 

 夏が来て、ガガイモの花を見る度にそんなショボイ自分の卒論を思い出す。
 
 
 今考えると、ガガイモは根で増えていくことも多いから、自家受粉が高確率で起きていたのだろう。実の成長段階での自家不和合性があって、そんな自家受粉による果実は親の側が育てないように実の成長途中で落下させていたのだろう。けれど、ガガイモは育ててもある程度成長しないと花をつけない性格があるようで、証明するための実験に使えるだけのガガイモを育てるのもなかなか難しいのが実情。
 
 
 だけど、先生に問われた「なぜガガイモの種子の結実率は低いのか?」という問いが、今も残っていて、ちくちくと気になり続ける。





 チクショー、答えを見つけたい!