時代ものを読む
あんまり暑くて、ついに家にいながらクーラーをかけてしまった。いささかの良心の呵責を感じつつも、さわやかな涼しさを満喫しつつ、本を読んだ。
本の山を処分してようとしているのだけど、その中から私の本ではないから未読だった本を適当に引き抜いて読んだのはこれ。
- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/07/15
- メディア: 文庫
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- 作者: 佐伯泰英
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2002/04/09
- メディア: 文庫
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もとより私の趣味じゃない。けどま、それなりにさくさく読めた。陽炎の辻から読んだけど、悪くはない。ただ、話の運びがすごく予定調和というか、それぞれの人のキャラクターはそれなりにたっているのだけど、それだけに、そうくるか?といった感じの物語の展開に意外性がもう少し欲しいと思った。
藤沢周平は、さすがに名前くらいは知っているし、NHKの「蝉しぐれ」はよかった。で、改めて「たそがれ清兵衛」を読んで、「陽炎の辻」に比べると、叙情性があって上品だと思った。読みやすくて上品な文章だし、主人公やそれを取り巻く登場人物もそれぞれに意外性がある。どれも短い作品ながら、それぞれにひねられていて、数少ないページ数と登場人物でもこれだけの余韻のある物語をつくるのは確かにうまいと思う。
けれど、一読して思うのは、どれも「人様から莫迦にされているのだけど、実は剣の達人で・・・」ってなパターンなんだな。でもって、それぞれに家族思いで、その腕を見込んだ藩命に応えることができて、だから安心して読めるし、読後感もさわやか。まあ、これってそういうパターンを踏襲しながら、でもそれぞれにどれだけのオリジナリティーを出せるか?って創った作品群でもあろうから、それをワンパターンと言うのは的を外しているかもしれない。
けど、人間ってそんなに美しくばっかりではできてないから、だからこんだけ書けるならもちっとひねたり腹黒かったり、だけど善良だったり、割り切れない人間の様を描いてもいいでないかい、と思った。藤沢周平は他も読んでないので、多分そういう作品もあるのだろうとは思うけど。
それと、女性についてもう少し書き込んで欲しいと思った。当時の社会情勢の中で、女性は何を考えていたのだろう?ただ美しく貞淑な女性だけでなくて、本音の女性の姿も書き込んで欲しかったりするな。
けれどまあ、そういうのがないから、さわやかに読みやすいだろうし、そういうただ美しい物語も、それはそれで必要だとは思った。
さて、この本の山をさっさと処分せねば。