hyla’s blog

はてなふっかーつ!

ダニだに〜


 昨年からずっとアリを飼っている。今飼っているアリは、オオズアリのコロニーが5個とインドオオズアリが2個、クロヤマアリ1個にアメイロアリ1個にトビイロシワアリ2個だ。
 
 そんだけあると、結構世話も大変である。そもそもが自分の飼っていたオオズアリ2個以外は、実験で使うためにとってきたものなので、実験を行った若者に面倒を見させていた。で、最近やっとその実験が終わって、少しずつ片付けに入った。

 
 で、今日片付けていると、インドオオズアリとオオズアリの一部のコロニーの調子が悪いことに気がついた。なんだか個体数が妙に少ない。特に、マイナーワーカー(小型のアリ)が妙に少ない。なんでだ〜?と思って、時間もあったので実態顕微鏡でのぞいてみた。


 そしてアリの様子を見た途端に、全身がむずかゆくなる気がした。何となれば、こういう状態だったから・・・。

 


 
 これは、インドオオズアリのメジャーワーカー(兵アリ)だけど、巨大な頭部も、小さめの腹部も、その表面にぼこぼこと付着しているものがあるのがわかるだろう。茶色くて丸いそれは、ダニですよ。


 もう全身くまなくダニに覆われてしまって、むずかゆいのか頻繁に体を掻いたり揺すったりしては何とかしようとしている。にけれど、ダニはぴったりついて、離れる気配もない。メジャーワーカーも生まれたばかりのマイナーワーカーも女王アリまで、みんな少なからずのダニに襲われているのだ。そして、その発生源は、どうやら隅のゴミ捨て場らしい。ゴミの中には、小さな白いダニや、茶色くて丸いダニがうごめいているのが見える。

 なんて、かわいそうな・・・・。


 と思って、とりあえず幼虫も含めてアリだけを取り出して、別のケースに移した。動かすと、少しだけど、その時の接触でダニはとれる。ダニは思いの外早い速度で歩き回る。そういうダニをけれど、アリはどうして攻撃しないのだろう?ダニにかまれているのは、不快なのは間違いないだろう。ならば、身繕いの際にそういうダニを食ってしまえばいいのに、小型のアリにとって難しいことだったとしても、メジャーワーカーの顎なら十分可能だろう。なのに、地面を歩いているダニもいっこうに気づかないようだし、自分の体のダニもそのままだ。う〜む、何でだろう?


 別のコロニーを覗くと、まだアリがダニに覆われるところまでは行ってなかったけれど、そこでもゴミ捨て場にダニが発生してたので、ゴミ捨て場のゴミを一気に取り除いた。すると、慌てふためいたダニがそこいら中をうろうろして、そのダニにひっつかれたアリも見えた。

 けれど、更にずーっと観察していると、そういうダニをしょったアリは、巣の中にはいった時に、全身尋常でないそれはそれは丁寧なチェックをされて、その際にダニがとれていた。とれて地面を歩いているダニには気づいていないようだが、それでも互いの体のダニは何とか処理できているようだ。


 さて、と言うことは、ダニが自分についていると言うことは、アリはわかっているのだ。そして、そのダニが少しなら、その異物を排除することはできる。けれど、多くなると、存在がわかっていても排除しない。それはなぜ?

 ダニは固いのか?
 ダニはまずいのか?
 ダニにはアリにとっての毒があるのか?
 それとも、ダニがアリの出すにおいを出して、アリの体ににおいで擬態しているのか?


 アリヅカコオロギなんかの好蟻性昆虫が、アリの巣の中にいても攻撃されないのは、蟻の出すにおいを擬態するからだという。ならば、蟻を襲うダニたちも同じ事ができても不思議はない。でも、ホントかな?そんなのってあり〜?


 と2時間あまり、そんな事を考えながら、実態顕微鏡を覗いていた。


 ダニが大量発生したのは、おそらく温度もあるのに湿度まで高くなったからだろう。こういう気候は夏なら当たり前で、蟻のゴミ捨て場では、自然界でも同じ事が起きても不思議はない。蟻が結構頻繁に巣を移動させるのは、こういうダニ対策の意味もあるのかもしれない。

 とりあえず、ダニの大量に湧いたコロニーを2つほど処分して、作業机にエタノールをスプレーして、最後に手をよく洗って今日の作業を終わった。


 
 アリを飼うのは簡単なんだけど、簡単ではないところもある。

 だから、のめり込むのだな〜。