京焼きの花器
木曜日はお華の日である。今回はさて何が出るか・・・、と包みを開くとこれが木蓮だった。
今回のお花の構成は、
・白木蓮
・チューリップ2本(赤)
・ストック2本(桃)
・小菊1本(白)というもの。
木蓮は、白木蓮も紫木蓮も、お華にはよく使う。路地でも咲く時期にはあまり使わないが、それより早くまだ寒い時期に、切って暖かな所で芽吹かせたもの(これを「ふかし」という)をつかう。
で、木蓮は木本だから枝振りというものがあり、それを生かして入れれば葉物よりはマシだけれども、あんまり普通な水盤では「工夫がない」と突っ込まれる。そこで、普段はあまり使わない脚のついた深い楕円形の水盤を使ってみた。
深さのある花器で、しかも脚があるので、それを利用してぐっと横に張り出す形に最初の1本を入れてみた。二股になって、大きく広がった枝のそのままを生かそうかな〜?と考えていると、「開きすぎとる。そのままではいかん。切ってきちんと入れなさい。」と指示が飛ぶ。
切るのか〜。あんまり枝をバラバラにしてしまうのは好きじゃないんだけどね〜、と思いつつもそこは先生をたてて枝を切り、最初の1本に添える形にしてみた。木蓮の枝はそれほど綺麗な枝振りではないけれど、それでも何とか形らしくはなってくる。ストックを高めに1本入れて、チューリップを前と後に分けてバランスをとる。そして、空いたところに小菊をあしらって自分的にはなんとかOK。
「できました。」
と言うと、やっぱりチェックが入るね〜。
「右手にもっと小菊を」
「左の枝が高い。」
「もっと主に寄せて。」
でも、私の見ている位置と、先生の見ている位置は異なる。私の位置からはそのままでも十分にいけるように思うのだけど、花というのは微妙な角度の違いで随分違ってみえるところがあるのだ。とは言え、さっさと終わりたい。「はい。」とそこは従順に従ってみせた。
でもまあ、全体としては、まあ平和に終わったと言えるだろう。
そして、やれやれと家に帰り、花の包みをほどいた。比較的順調に終わったと言っても、既に9時を回っている。それから花なんか生けたくはない。けれど、生けなければ、余計に面倒になるのだ。我慢して、まず花器の準備だ。先生の所の花器と比較的近い花器はないか、と考えて物置に有る花器を引っ張りだした。黒地に茶色の模様の入った脚つきのコンポート。これなら同じ形で入るし、そしたらさっさと終われる!
そしてまずは、先週の花を移動して飾る場所を空ける。
先週の花は寒さもあって、まだまだ綺麗なので、一端全部抜いて、適当にその辺のコンポートにまとめて突っ込んだ。こんな感じに。
そして、今日の花である。枝を入れ、花を入れてあっさり終わる。これでOKだ。どうだ。
って眺めていて、気がついた。先程のけいこと同じ形には入っている。しかし、何だか花が弱い。てか、花器が強すぎないか?
黒地に茶色模様のその花器は、裏には作者の落款が入っていて、多分京焼きではないかと思えるもの
だ。万古焼き信楽などの花器メーカーが普及品として造っている花器とは違って、それぞれ1点物の花器は、確かにうまく生けるとそれは見事だ。この花器もモダンな雰囲気が好きで買ったものだけど、作者の気合いのほどが伺える花器で、そして、今回の場合、普通の稽古用の花器には十分だった花が、個の花器には明らかに弱い。それなりの花器には、花材もそれなりの物でないと釣り合いがわるいんだなあ〜。
とはいえ、もはやその時点で気力は尽き果て〜。
と言うことで今回の教訓。
「京焼きは強い。舐めたらあきません!」