おやすみに
これは「いきなりだんご」という。今年の夏に熊本に行ったのだけど、そこで食べたものだ。サツマイモと小豆餡を団子で包んだもので、あっさりとした味わいで実に美味。あたしは好きだね。で、今時の事だし、検索すれば作り方がすぐにわかったからつくってみたのだ。
あんこは小豆を炊いて、余っていた黒砂糖で炊いてみた。だんご粉と小麦粉で皮をつくり、頂き物の鳴門金時があったので、それをざくざく切ってスプーン一杯のあんこと一緒に皮で包んで古い蒸し器を引っ張り出して蒸し上げた。もちもちした皮に包まれたほんのり甘いサツマイモを食べると、ちょっと幸せになれる。濃いお茶と一緒に食べて、少し落ち着いて、ひとしきりぼーっとした。
行くべきか、行かざるべきかそれが問題・・・。
と考えて、やっぱり出かけた。車で10分ほどの山へ走り、車を置いて細い道に入る。湿った地面の匂い。緑の中に所々見える紅葉を眺めて、時に地面に眼をやって・・・。
地面にはフユイチゴの赤い実が一面になって、それから私には名前の判らないキノコがたくさん生えていた。いわゆる野菊もたくさん咲いていたし、山の中だからまだセイタカアワダチソウの花が残っていた。ビナンカズラの実もヤマナスビの黒い実も見えた。ジョウビタキの鳴き声が聞こえて、それからカラ類の群れが飛んでいた。
同じ道を数年前にはマルクと一緒に歩いた。マルクはいつも私の前をかけて行っては引き返して、ちゃんと着いてきているか確認するようにじっと立ち止まって眺め、追いつくのを確認してまた走っていくのだった。
今はもうマルクはいなくて、細い鳥の声を聞きながら一人で歩いた。
一人だけど、それでも積み重なった枯れ葉を踏みつけながら、生き物を気配を感じながら、山の中を歩くと、少しずつ落ち着いてくる。自分が冷静に成っていくのがわかる。自分の馬鹿さを素直に認められるし、状況は変わらなくても切迫した気分は随分改善される。
本当は、そうやってでかけるのもリスクがある。けれど、夕日に鮮やかに光るヤマニシキギをみながら、それでも出かけて良かったかな〜と思った。
にしても、やっぱ連れが欲しいぞ。
ジョジョちゃんは、つき合ってくれない。
マルクの代わりのわんこが欲しい・・・のだが・・・・。