hyla’s blog

はてなふっかーつ!

東京は沸騰しているのか?


 昨夜、NHKスペシャルの「沸騰都市」第7回「シンガポール」を見た。

 
 東京の23区ほどの小さな都市国家であるシンガポールが、最も有望な資源は才能のある人とばかりに、世界中から人をかき集めている様は興味深かった。熾烈な競争はあれど、才能あると見た人には潤沢な資金を投入し、一方で単純労働者は滞在期間から妊娠にいたるまで管理し、「外国人労働者は景気の調節弁である」と言い切る首相の言葉は、判りやすいけれどおっそろしい国だな〜、と思った。シンガポールって、確かガムを噛んだらいけないという法律がある国ではなかっただろうか。きちんとしてはいる気がするけど、なんだかひどく傲慢な感じがする。多分超エリートの首相に率いられ、自分たちの利益を追い求める都市、というか国、あんまり好感は持てない気がしたが、しかし確かにパワーはあると思う。


 で、そういう「沸騰都市」の最後第8回の今日は「東京」である。全部はみていないが、このシリーズは確かに面白かったので、東京をどのような切り口で分析し見せるのか、非常に興味深く思って見た。

 
 見るところ、東京に対する切り口は「超効率化都市」らしい。都市交通網が異常なほどに充実し、海にそして地下に空に膨張を続ける生き物のような都市。首都圏外郭放水路(一度行きたいなあ)や曲がりくねったトンネルを掘り進む巨大な掘削機、そういう非常に雰囲気のある絵を提示して、いきなりアニメに入る。アニメは東京が一つの生き物として意志を持ち、増殖するという事を暗示するのだけど、何か絵空事くさいなあ。ドバイやブラジルでは印象的だった、そこで生きて活動する人々、はっきりとした目標をもって進む政治や経済のダイナミックな動きが提示できていない。だから、それに伴う都市の動きこそが沸騰する都市のイメージだったのに、沸騰しているようには感じられない。少なくとも「東京」の回は、はっきり言って「何これ?」って感じだった。

 
 東京に生きる人々や経済活動は、本当に今もマグマのように湧き上がり、爆発しようとしているのか?超高齢化ならそれはそれで、これまでの経験を糧に、次の方向性を目指して老獪な活動をしたたかに続けていこうとしているのか?本当に?
 私は田舎暮らしだし、東京には数年に一度くらいしか行かないだけに、本当にところは判らない。


 
 しかし、番組だけをみると、シンガポールやブラジルに比べ明らかに出来は良くなかったと思う。無理をしてつくっていた感が否めない。





 沸騰都市の始まる前に流れていたニュースでは、今年のGDPが石油ショックの頃に並ぶマイナス12.7%だと述べていた。割と好きだったゴールデンベアなんかの小杉産業が破産したらしい。そういう中で、いきなり大切な会議の報告というパブリックな場面で考えられないような恥をさらして帰ってきた中川財務省の言い訳も流れていた。なんちゅうか、情けないよなあ・・・。
 そして、本当に恐ろしいのは、そういうとても陰気な気分、ダメダメ感がそこいら中に漂っていることだ。恐れや恐怖は何も産まない。いやむしろ、見えない未来への恐怖こそが、本当に魔物を産むのかもしれない。

 

 戦後っていうのは、良くも悪くもある程度階層を破壊し、平等幻想をばらまいた。それはまた希望となって、少なくともある期間と東京が沸騰していたことは間違いないだろう。

 
 けれど、戦後最大なんて枕詞と共に語られ出した不況の中で、今再び東京は沸騰することができるだろうか。私たちは、それは無責任な幻影かもしれないけれど未来を信じて、努力し未来への可能性で東京を沸騰させることができるのだろうか。大きな物語が破綻した世界にあって、これまでとは異なる物語をそれぞれがつくり出すことは、孤独で恐ろしい作業だけど、それでも生きる以上は自分なりの物語をつくるより他ないのかもしれない。



 って、考えれば考えるほど、書けば書くほどオチが見つからない〜。



 まだまだ青いな・・・。