hyla’s blog

はてなふっかーつ!

小豆島探訪記(その2)

シカです。


 小豆島はおもしろうございますよ。どんな風におもしろいか文章にしてみると、何と5ページにもなってしまいましたよ。はっきり言って、書きすぎ!

 
 ま、でもせっかく書いた事だし、アップしてみました。あまりに長いので、適当に切って、何と3部構成に!


 
 というわけで、どぞ!
 
 


 第1部  朝
 さて、小豆島2日目。6時に目覚め、まずは朦朧とした頭のまま、お風呂へと向かった。(ちなみに、あたしはとっても朝に弱い。朝のあたしはゾンビです。)当然のことながら、11時をすぎてホテルに帰ったような人間は夜のお風呂には入れない、ので昨夜は風呂に入ってない。が、ここの国民宿舎は一応温泉なのよねえ〜。このままじゃ汗くさいし、塩っぽいし、朝風呂にでも入るしかないではないですか。 
 

 「ああ〜しんしょをつぶしちゃうかしら〜。」
 

 と、思いつつ(<古い!古すぎる)、風呂でぼーっとし、ニュースを見ながらぼーっとし、7時半の朝食となった。
 


 時間ちょうどにやってきた同行者は、身支度ばっちし。更に外から帰ってきた。
 「え?ひょっとして、もう出かけて来たんですか。」
 「一回りしてきたで。ウグイスが派手に鳴っきょった。それに、昨日アマガエルが鳴っきょった水たまりのチェックもしてきたで。」という。

 
 そう、昨日の帰り道に、賑やかにアマガエルが鳴いている用水桶があったのよ。そこには、緑の1mmくらいのもんが大量に浮いていて、
 「これは、もしやミジンコウキクサではあるまいか?」
と推測してたのね。

 「ほら、これや。」
と見せてもらったヨーグルトの瓶を見てみると、確かに緑の浮き草が大量に浮いている。

 「あれ?マツモムシもおる。え、これ捕まえるってことは、網持ってきてたんですか。」
 「一応な。」

 何と、こういう事まで想定して、小さな水網までもってきていたとは。う〜ん。出遅れた。負けないぞ!ここからあたしも頑張る!

 「これミジンコウキクサやと思うんですけど、ほんまにそうかなあ?」
 「後で、ミジンコウキクサでええかどうか、見てもらおで。」

 そう、本日の、というか、今回のメインイベントは、植物にかけては県下でも随一の博識を誇る方を講師に迎えての植物の観察会。楽しみですねえ。


 
 第2部 古い学校 

 
 食事を終え、身支度を整えて向かった先は、寒霞渓ではなく何と地元S高校である。そう、古い高校にはありがちなのだけど、ここにも大量の古い生物標本が所蔵されているらしい。それを拝見させてもらおう、というわけ。

 
 由緒を感じさせる校舎の2階の隅に、その部屋はあった。入ってみると、あるよ、あるよ。おお、剥製の嵐に、ホルマリン標本の瓶が林立している。そして、由緒を感じる模型の数々。昔の旧制中学と女学校が合併してできたもうすぐ100年目の高校だけに、すごい!
 私の目についたのは、数体の大きな鳥の剥製。埃よけのビニールをかぶって無造作に棚の上に置かれている。あれは?あの大きさは尋常ではない。興奮のあまり、いきなり断りもせず(ごめんね)、そこにあった椅子にあがって、棚に近づいて見ると、ああ!やっぱりい!
 
 アホウドリにマガンにクマタカだあーーーーーーーーー!


 をいをい!

 なんちゅう、貴重な標本が!これって、すべてレッドデータ種じゃないですか。



 今時絶対手に入らない貴重な標本。その消えかけのラベルを見てみると、島津製作所標本部の作製で、採集年月日は恐らく明治35年。ははっ、明治ですか!空襲にあってない、旧制中学はやっぱりすごいわ。その他、生徒、あるいは先生の手作りと覚しきイタチやタヌキやシカの標本もあり、いいわあ。これだから、古いとこって好きよ!


 棚に入っていた、古い張り子の手法で作った消化管や神経までついてる30㎝ほどのバッタの教育用の模型(おそらくは明治の作)に至っては、その出来栄えの良さに日本の手仕事の伝統を実感し、皆で感嘆したのであります。こういうものを作る人と、それを買うお金を出してくれる旦那衆、そして、それを使って教育する人たちがいて、日本の科学教育って高いレベルを維持できていたんでしょうねえ。
 
 
 更に、昆虫標本の数もなかなか。こちらは1960年代から生物部の部活動として採りためたものが、きちんとドイツ箱で保管されていて、その数50箱はあるだろう。
昆虫専門の人は、順に上から引き出しては、
 「おお、こんなもんもある。これは貴重やあ。」
 とか言いながら、楽しげにみるみる。
 「蛾が中心なんですけど(そこはちょっとだけ残念そうに)、小豆島の昆虫は結構特殊で貴重なもんもあるんで、今度蛾専門の人に見に来るようにいうてもええですか。」
 と、交渉し快諾を頂いてその場を後に。
 (ちなみにここで、昨夜シロマダラをアルコール標本にさせてもらいました。アルコールを分けて頂いて、ありがとう!) 


 

 第3部 寒霞渓にて植物観察
 

 草壁港へ向かい、待つことしばし。ややあってフェリーに乗って期待のヒーロー、植物講師登場!即移動した。


 今回は小豆島の最高ポイントである星ガ城の少し下の駐車場から星ガ城へ登り、そこからロープウェイの登り口の紅雲停まで下山しながら植物の観察をするというコースである。

 さあ、こっからがメインイベントだ!
 星ガ城の登山口にて下車し、登り始めると、直ぐさま飛び交う質問の嵐。
 「これ何ですか?」
 「これはマムシクサ」
 「これは?」
 「こっちは、ウラシマソウ。これは、ナンゴクウラシマの方。」
 「え、何でそれがわかるんですか?」
 「まず、葉の感じが違う。ナンゴクの方が細いササ状の葉で、更に花の突起のカーブした部分にイボがある。」
 「ほお〜。ほんまや。」さすがです。尊敬の眼差し!

 その他、トリカブトとか、ケショウアザミとかタニギキョウとか小豆島特産の種を含め、数十に及ぶ植物を教わったのございます。(どんだけ覚えていられるかな〜。)



 でも、植物の名前を教えてくれる講師がいるとただ緑の中を歩くのに比べ、ほんとに楽しくなります。むろん寒霞渓の絶景を楽しみながらただ歩くだけでもこの時期は気持ちがいいものですが、それにしても名前がわかると実に楽しい。一つの植物の名前を教わり覚えると、それがここにある、あそこにもある、と、緑一色だった植物が細かく見えるようになります。まるで、ぼけぼけで見ていた世界にくっきりとピントがあっていくような、そんな感じがあって、なんて楽しい。

 

 そして、名前を覚える時に大事なことは、知らなかったら恥ずかしがらずに即聞く、ということと同時に、自分でもそれが何か推測して聞くという事かな、と。考えて聞くという事が大切なのではないか、と思います。
 
 例えば、
 「これって、ヤブレガサみたいなけど、なんですか?
 と聞くことが大事。この植物の場合は、
 「これは、ハンカイソウ。」
 だったのですが、(2つの植物は、よく似た仲間)間違ったら恥ずかしいです。でも、何か?と考えることが重要と思うわけです。間違えても、それでも、考えて予測して聞くことで覚えやすく、応用も効きやすくなると思います。


 

 でもなあ、今回の講師はスーパー講師ですが、生徒もすごいよ!だって、聞き方からしてただ者ではない。だって、
 「これは、カマツカですか?」
 「これは、カナクギノキですか?」
とか聞くんですから!

 普通そんな植物知らないって!それだけ知ってりゃ、それで十分すごいです。でも、スーパー目指して、みんなここぞとばかりに聞くから、まあ、歩く速度の遅いこと遅いこと。山岳部なんかに入っている人なんて耐えられないスピードでしょう。普通の人の多分3倍から4倍時間をかけて、4時間ほどかけてすべての行程を終了したのでした。

 
 

 でもって、私の本日一番の収穫は何かと申しますと、それは、シ・カ!(死体)
 


 やあ、山道に入ってすぐにですね、それは落ちていたのです。植物講師が「2週間ほど前に、シカが死んどったよ。」と言ったその場所に、ありましたよ。さすがに、喰われて骨になっていましたが、持ち帰るにはちょうどいい大きさの幼獣。(大人のシカはさすがに大きくて重くて無理)シカは、まだ持ってない。これを持ち帰らずにどうする?


 ええ、ええ、もって帰りましたよ。その場で同行者からビニール袋を奪取し、二重にして口をしっかりとくくって、何気ないふりをして、フェリーとJRを乗り継いで持って帰りましたよ。これから、骨格をとる予定です。


 疲れた〜。


 でも、収穫たくさん


 というのがあたしの週末でした。


 お世話になった方々、そして、ここまで読んでくれた人、ありがとう。