hyla’s blog

はてなふっかーつ!

冬鳥の到来を知る

シロハラ



 時は、11月18日、朝10時40分。


 その時、私はいつものように、一仕事終え、廊下を歩いておりました。良く晴れて、冬空青い色が美しく、やや寒いとは言え、気持ちのいい空気です。そして、2階の渡り廊下を歩いていたその時、それは起こったのです。

 「どーーーんっ。」

鈍い衝撃音!

何? 何事?


思わず振り返ると、後を歩いていた若者が同じように硬直し、ある方向を見つめています。
「ああっ。鳥が・・・。」と、彼の口から漏れる言葉・・・。
「え?鳥? 今のは鳥?」


 慌てて廊下の東側のベランダに出てみると、そこには散らばる羽毛と、弱々しく動く鳥が・・・。オリーブがかった茶色の背中に白い腹。シロハラです。ああ、しかし動きが弱い。そして、口のあたりには血が・・・。これは、脳しんとうだけではすまず、脳内出血、あるいは頭蓋骨骨折を起こしている感じ。これでは、ダメか?


 拾い上げた手の中で、みるみるうちに、鳥の動きは弱く小さくなっていきます。あえぎが緩やかになり、そして・・・。止まりました。頸が力を失って、だらんと垂れてしまいました。まだぬくもりは残っているものの、黒くつややかな眼も半分閉じて・・・。


 
 ご臨終です・・。


 そうこうしていると、
 
 「どしたん?鳥な?」
「それ、何?うわっ、死んどん?何で?」

 
 そこを通りかかる人が、尋ねて行きます。


 「今、廊下のガラスにぶつかったんよ。たった今、ぶつかってしもうた。」


そう答えながら、窓ガラスを詳細に眺めてみると、小さく黒いつぶつぶと紫の液体がついた所を発見。液体は、ガラス面を緩やかに流れています。


 「ここに、ぶつかったんよ。きっと、直前まで、黒い実をお腹いっぱい食べとったんよ。ものすごい勢いでぶつかったんよね。それで、ここに口から出たもんがついたんやね。黒か紫の実やけん、きっとそこのクスノキあたりでないかいな。今いっぱい実がついとるけんなあ。」



 解説をし、デジカメをとりに走ります。そして、ともかくも記録写真。

 「うわっ。まるで監察医みたい。」 
「記録はしておかんとね。」
「それ、何?」
「これ?お腹が白いやろ。これはシロハラ。」
「まんまやん。」
「ほなって、そう言うんやけんしょうがないやん。よう似たんに、腹の赤いアカハラゆうのもおるで。これってな、ずっと北の方から飛んできた冬鳥なんよ。越冬の為にはるばる飛んできたのにね。」


 と、言いながら、ベランダの様子、鳥の様子を記録し、鳥は後で計測するべくしかるべき場所へ持って行きました。




 冬鳥が来たのは嬉しいけれど、鳥の衝突もオンシーズン突入、のようでございます。