hyla’s blog

はてなふっかーつ!

本を読む


 夏休みの最後の日。ひたすら本を読んで過ごした。なんかこう、何もかも忘れてひたすら没頭したい、という欲求があったのですな。そう、逃避といういう奴です。


 で、読んでいたのはこの本。

ダスト〈上〉 (ヴィレッジブックス)

ダスト〈上〉 (ヴィレッジブックス)

ダスト〈下〉 (ヴィレッジブックス)

ダスト〈下〉 (ヴィレッジブックス)


 ブックオフで購入。購入のポイントは、白石朗の訳だったから。白石朗の訳は読みやすくって、個人的に好きなので。


 で、ひたすら読んでいた訳だが、確かに読みやすい。一応SFで、近未来パニックもの、あるいは滅亡ものと言うことになるだろう。著者は生物学者もやってるひとで、マイケル・クライトンジュラシックパークの有名なアイディア(琥珀の中から絶滅した生物のDNAをとりだし復活させる)を提唱した人物。きっと、マイケルクライトンのバカ売れを見て自分でも書きたくなったのだろうし、映画化も意識した作品に違いない。映画化の版権も既に売れていると言うことで、確かに映画のようだ。


 主人公は天才科学者だし、友人に黒人の科学者や同僚に頭のよい(少々かわいげはない)女性の科学者がいる。子供もいるし、大統領も出てくるし・・・。かの有名な進化生物学者がモデルとだよな、とすぐにわかるウイルソンなるアリが専門の天才学者も出てくる辺りはお遊びか?
 「人類の苦難に立ち向かう科学者達の苦闘の日々!そして、更にそこに襲い来る恐怖!」って感じで、いかにも映画的だなあ。


 とっても読みやすいし、それなりに面白いとは思うのだけど、けど、不満!

 
 だって、そもそもの基本である昆虫の絶滅がどうして一夜にして起こり、それまで誰も気づかれていない、なんてことが起こりうるの?昆虫が絶滅する場合、一夜にしてそれが起こり、更に死体が見つからない何てことはあり得ない。昆虫が絶滅するのはよいとして、実際に最後の個体が死滅するまでに、徐々に死亡率が上がり同時に産卵率が下がるのでは?それに、死んでいく昆虫の死体の散乱に、普通人々は異常に気づくだろう。アマチュアも含めフィールド系の生物学に携わる人だって数多くいるだろうし、それが誰もそれに気づかない、何てことは考えられない。


 ついでに、対策として琥珀の中に閉じこめられたチョウをまず復活させるのはいいとして、普通チョウの食草ってかなり限定されるわけで、琥珀の中のチョウが食べていた植物が現代に生き残っている、ということは考えにくいし、人工飼料を使うにしても、どれが適しているか、その試行錯誤だけでもかなり長期間かかりそう。それがあっという間に(半年くらい?)できちゃうのは何とも・・・。


 あと、人類を存続の危機に立たせたら、何でもかんでも戦争起こしたり、自動攻撃システムを使って原爆を含む爆弾で攻撃しあうのは昔風だねえ。いかにもアメリカ人の考え!


 まあでも、プリオンだとか有毒渦べん毛藻の出現だとか、今時の生物の話題を豊富に盛り込んでいるし、実際本当の話もかなり入っているだけに、「本当かも?」と思わせる所もある。


 
 と言うことで、突っこみどころ満載なのですが、ブックオフにあったら、あるいは図書館にあったら読んでみてもいいでしょう。それなりの退屈しのぎにはなります。