本を読む
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2003/02
- メディア: 単行本
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図書館で借りてきた。
「クーデターに巻き込まれた兄弟の運命や如何に!」ってなあおり文句がついていて、そこそこには面白いか?と思ったのだけど・・・・。
今ひとつでした。
全体に、どういう作品に仕上げたかったのかが疑問。サバイバル冒険サスペンスなのか、複雑な家族関係に悩む少年の心の軌跡と家族の再生の物語なのか、あるいはマヤの遺跡に潜む霊的な存在と太古の謎をめぐる物語なのか。絞り切れてないかな、と思う。
読み初めの頃は、スティーブン・キング的なサバイバルをしながら少年が成長するサスペンスムードの物語か、と思ったのだけど・・・。
途中で謎の遺跡が出てきて、幽霊のようなものが謎の言葉を残す。さらには何故だか嘘っぽい遺跡の地下で人数が不足したからという理由でマヤの成人の儀式を受けさせられる羽目になるし(このあたりはゲーム攻略本)、むちゃくちゃ能力の高い変な少年が出てきて変な日本語をしゃべる。
遺跡に住む倒さねばならない「王」というのが、これまた単なる象徴でも霊的存在でもなく本物のジャガーらしいし(でも今時ジャガーを殺したらいかんだろう。レッドデータものでは?)、さらにその変な少年も悪者かと思うと良者らしいし、どう考えても性格的に破綻している母親も何故だか娘かわいさに目覚めてしまう。
ついには、火山の噴火をマヤの文化がその日付まで予知して溶岩をうまく受け止める地下回廊をつくるって・・・・。
ありえません!
私としては特に、どうしてジャガーが地下に潜んで人間を襲うのか、その辺りがどうにも納得いかない。習性を考えると、あり得ない!さらに、そもそもクーデターの起きる必然がよく分からないし、できた新政府のあり方もさっぱり理解不能。どうやってクーデターを起こすことが可能だったのか。絶対無理だな。
ということで、いろいろはられた伏線もどっかへ行ってしまい、さっぱり訳がわからない作品でした。
サスペンスで始まって、ゲーム攻略本になって、ご都合主義に終わりです。
恩田陸ファンの人には悪いけど、
「つまらぬものを読んでしまった。」
と思います。
(光の帝国とかは、読めるんだけどな・・・。)