hyla’s blog

はてなふっかーつ!

男達はどこへ

決壊しそうだった堤防


 本日夕方からは、お茶であった。仕事の後である。当然早く帰りたいし、「さっさと終わりたいなよなあ〜。」と思ってたら、いきなり「では今日は「台天目」のお稽古を。(相当上のお点前で、非常に面倒で、非常に時間がかかります。)」と言われて泣きそうになったが、まあそれはいつもの事である。4時半に行って、帰ったら8時半だったので、4時間である。それだけ長い間稽古をしていると、いわゆるお茶の話もするが、当然世間話というか、四方山話もする。で、その折りに「今年の大きな出来事は、何と言っても台風23号がひどかった事だよね。」と言う話になり、そして先生が言ったのだ。
 「今回の台風では、男の人があんまり動っきょっらんかんった。」
う〜ん、そうなんですよね。それは私自身も少々疑問に思っていたところ。

 
 今年の台風23号に匹敵する台風が、私が小学生のころにあった。その時も、近くの川が決壊するかもしれない、ということで高台にある高校に避難をした。で、母と子供達は避難したのだが、父は残った。そう、川が決壊しそうなのだ。定期的に見回り、危ないとなれば土嚢を積まねばならない。ほんとに決壊したなら、逃げ遅れるひとが出ないように、近所の人が逃げたかどうか回らねばならない。地域の消防団であったわけではないが、でも大抵の家の男達は残って台風に備えていたのを覚えている。

 
 で、今回の台風の場合はどうだったのか?
私自身、台風の最中に帰ってきた。すぐに避難勧告が出たのだが、イヌもいるしで逃げなかった。たぶん1時〜4時が増水のピーク。私は結構無謀なことに、その間何度か外に出ていたが、誰にも会わなかった。そしてその時、近くの川の堤防は正に、崩壊寸前だったのだ。
 近所の約半数の人は、避難していたようだ。が、残っていたところも、ちらほらある。でも、誰も外にはおらず、堤防が決壊寸前だというその事を、どれだけの人が知っていたのだろうか?今回は幸いにも、堤防は何とか決壊せずにすみ、そして皆無事だった。けれど、少々気にかかるのだ。もし、南海とか東南海地震などの大災害がきたら・・・・。
 
 むろん今回にも様々な事情があるだろう。仕事先から帰れなかった人も多いだろうし、他のもっと危険なところで動いていた人もいるだろう。けれど、自分たちの住む場所は自分たちで守るんだ、と働いていた男達は、どこへ行ってしまったのだろうか?
 
 
 我が家は、女所帯である。力仕事だろうがなんだろうが、自分でやるしかない!と思っている。


 けれど、ちょっと郷愁を持って思い出す。台風の激しい風雨の中、ビニール合羽とゴム長をはいて玄関を出ていく父の姿を。緊急の際には、一丸となって危険に立ち向かっていた普通の男達ってやつを・・・。