hyla’s blog

はてなふっかーつ!

NHK三昧

 起きたら、うっすらと雪景色。

 あまりにも寒くて外に出る気になれず、カーテンを開けて、明るい日差しを入れてぼちぼち片付けをした。溜まった郵便などをチェックしつつ、何となくテレビをつけていたのだけど、気がつくとついつい見入ってしまったのがこれ。


 記憶に辿りつく絵画~亡き人を描く画家~|NHK 日曜美術館

 
 日曜美術館なのだけど、とても普遍性のある、死とは何か、死はどのように受け入れればいいのか。そんなことが、テーマ。
 突然事故で死んでしまった娘の肖像画を家族は画家である諏訪敦さんに依頼する。諏訪さんは、家族をスケッチし、死んだ彼女の事を調べ、その手を描くために模型まで作ってリアルな彼女を描こうとする。そして、同時に彼女を描くことで、家族を傷つける事にならないか考え、同時に画家としてどう描くかに悩む。

 
 そうやって、書き上げられた作品は、微笑む寸前という表情で、けれどそれは見ようによっては如何様にも見える。それをみたと家族は「ああ、帰って来た」と感じ、けれど同時にもう娘はいないのだと言うことをようやく受け止めることができていた。



 一人の無くなった女性の肖像を書くために、深く悩み込む画家がいて、だから家族は慰められる。一枚の画を描くということは、無くなった女性と家族に寄り添うことで、それはとても消耗する行為に見えた。けれど、画家はそうやって「死」とは何か、そしてだから「生」とは何かをつかもうとしているのだろうと思った。


 その作家は、大野一雄の肖像も描いている。90歳を超え、老いた肉体。もはや自分の意志で動くこともままならなくなって、それでも踊り続ける。それを見るとき、踊るとは何なのか、生きるとは何か私たちは考えざるを得ない。そんな大野一雄をそこにあるかのようにリアルに、同時に幻想的に描いた絵を見ると、私たちもまた「生」と「死」を、そして自らの生を考えていく。




 番組中で、印象的だったシーンがある。
 突然の事故で、娘を失った家族が集まって食事をしている。その中で、娘の思い出を語り、そして話ながら泣き出してしまう父親。そして母親、兄。残された家族が寄り添って泣く。残された家族で悲しみを分かち合う。悲しさに、正面から向き合う。そんな家族のありようが、羨ましく思えた。
 大切な人を失っても、そのことを共に悲しむことができる者は幸いである。家族であっても、それすらできない人も多い今の時代だから。


 そして家族は肖像を画家に依頼し、画家は「恵里子」を描き、画家の描いた「恵里子」は穏やかな表情で私たちを見つめ、私たちは生と死を考える。

 

 

 美術の番組なのだけど、何だかとても印象的な番組だった。NHKって、さり気なくこういうのをつくるから、油断ならない。



 そして、夕方知った。これを見逃したことを。
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 ああ、悔しい。
「我こそは玉梓が怨霊」って奴をもういっぺん見たかったのにい〜。