hyla’s blog

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アシダさん

アシダさん


 さっき、アシダさんが私の部屋に来た。

 
アシダさんが来るのは、久しぶりである。ちっさいアシダさんはそれでもちょこちょこ見るけれど、今夜のアシダさんは細くて長い足を見せびらかすようにささっと歩く姿からして、妙齢の女性のようだ。

 
世の中にはアシダさんを嫌う人も多いけど、アシダさん自身は決して悪いことなどしない。ひっそりと、部屋の隅にいて、お腹がすくと控えめにそっと出てきて、嫌われ者のゴキくんを食べている。人と利害が対立してしまうのならしょうがないけど、どちらかというと、人の役にたつのがアシダさんだ。

 
けれど、アシダさんは嫌われる。

 

とにかく大きいし気持ち悪いという人もいるけど、アシダさんは実際はそれほど大きくもない。足が長いだけだ。それから、たたたっと動いてぴたっと止まるあの動き方が嫌という人もいるけど、素早い動きは人に怯えて必死の思いで逃げてるだけだし、止まるのは書肺で呼吸しているから呼吸効率が悪くって、息切れしているだけだ。
 アシダさんを見かけだけで判断して、毛嫌いする人をみると、ついつい判官贔屓というか、弱いものに味方したくなる。
 あたしんちも、アシダさんを何十と同居させてあげるほどにはお金持ちじゃないし、家も狭い。けど、アシダさんの1人や2人くらいなら、そっと部屋の隅にいる分には、ま、いっかと思う。


 
久しぶりに来たアシダさんは、見ている間はぴくりとも動かなかったけど、写真を撮り終えて目を離した隙にどっかへ行ってしまった。


 


共に生態系を構成する生物群集の一員として、アシダさんとも共生し、友好関係を築いていくことは大切だと思う。