hyla’s blog

はてなふっかーつ!

 
 夕方5時半を過ぎて、空を見ると暗い雲が低くかかっていた。見上げていると、少しずつ雨が降り出した。

 
 香川では、もう20日以上雨は降っていない。地面は干からびてからからだし、川は干上がり、ため池の水位も下がっている。草花だけでなく、樹木も、道ばたの雑草さえも、枯れかかっている。
 それを思うと、この雨はまさに慈雨。待ちこがれていた雨だ。乾いた地面に落ちる雨粒が、濡らした地面を黒く変えていく。地面に落ちる雨から、匂いが立ち上る。幸せな気分になる。
 
 
 それでも乾ききった後だから、少々の事では地面の内部まで浸透しない。
 
 

 もっと、もっと、一晩でも降り続け。
 
 
 そう思っていたら、本当に雨は急激に強くなった。北から風が吹き始める。雨が、風に流される。雨粒はもはや木の枝や葉に留まることなく、流れ落ち、地面に落ちる。降る雨で、景色は白く煙って見える。慌てて窓を閉めて、雨の当たらない南側のベランダに出た。風に流された細かな水滴が屋根の下まで飛んでくる。肌に当たった水滴が集まって滴るほどになっていく。階下を見れば、少しでも濡れまいと、前のめりになりながら雨の中を必死になって走る人の姿がみえた。

 「ぴかっ」と空の北側で雷が光ったようだ。反射的に、秒読みを始める「・・・18,19,20,21。」と数えたときに「ゴロゴロッ」と鈍い音がした。まだ遠い。けれど、この分ではしばらく降るのかもしれない。どうせ降るんなら、もっとゆっくりと、地面の内部に着実に水がしみこむように降って欲しい。そのまま流れてしまったら、もったいないではないか。
 何日も降らなくて、待ちこがれて、そしてようやく雷と共に急激に降る雨。これって、実物に遭遇したことはないけれど、ほとんど熱帯のスコールではないか。長い乾期の後の、雨期の訪れ。

 
 仕事を終えて、家に帰っても雨は降り続いていた。

 
 夜半過ぎ、静かになった庭に出てみる。もう降ってはいないかと思ったのに、少しまだ降っていた。草の葉の上に、久々にカタツムリを見る。つんとした、けれど心地よい匂いがする。庭のウイキョウの匂いだ。懐中電灯で照らした、プランターの花の中に、アマガエルの仔ガエルがいた。光にまだ小さな体の中が透けて見える。隣の睡蓮の鉢いっぱいに広がったミニ睡蓮の葉を少しよけて水面を開けてみると、メダカが泳いでいるのが見えた。更に小さな楕円形の固まりがある。いつの間にか睡蓮の蕾がついていた。

 玄関先で、しばし、雨を眺める。

 


 雨は好きだ。